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第九章 りっちょん&ウラジ騎士団の猛攻

第179話 学校に行ったがあまり騒がれなかった

「タカシくんタカシくん、大変だよっ」


 教室に入るとまたみのりがデデデと走って来た。


「ワッペンがもう出来てきたんだよっ」

「おお、早いな」


 綺麗な刺繍の『Dリンクス』マークのワッペンをみのりから渡された。

 山猫が前に伸びてアクビをしているイラストにDLinksとロゴが入っている。

 やっぱり山猫が鏡子ねえさんっぽいよなあ。


「良く出来てるなあ」

「でしょでしょ、横須賀のワッペン屋さんにたのんだんだって、タカシくんも防具に貼るといいよっ」

「どうやって付けるんだこれ?」


 マリちゃんが寄ってきた。


「アイロンで圧着して三十秒ほどでくっつきますよ」

「アイロン……、無いけど」

「買おうよ買おうよっ」

「制服のワイシャツはアイロン掛けて無いんですか」

「お、おう」


 アイロンを掛けるという発想が無かったな。

 普通に干してそのまま着ていた。


「駄目だぞそんな事では、アイロンぐらいかけられないとな」


 東海林もやってきて、そう言った。


「東海林はやってるのか?」

「お、お母さんがやってくれている」

「駄目じゃん」

「今度行って、私がアイロン掛けてあげるよ」

「みのりはアイロン掛けた事あるの」

「そ、そりゃあありますよ、はい」


 目が泳いでいる、みのりもお母さんに掛けて貰ってるな。

 とりあえず、俺のワイシャツは形状記憶の奴しか無いから要らないのだ。

 生活の知恵なのだ。


 俺は自分の席に座った。

 みのりが前の吉田の席に腰を掛ける。

 東海林が椅子を移動させ、マリちゃんも来たな。


「鏡子ねえさんとチアキも喜ぶな」

「今日は先生方の日ですから、迷宮の売店で魔石利用アイロンを買ったらいかがですか」

「「「そういうのもあるんだ」」」


 売店は基本ドロップ品を売ってるはずだから、何かからドロップするんだな。

 アイアンゴーレムだろうか? アイアントータスか?

 まあ、値段を見て安かったら買おう。


「おおっ、リンクスのワッペンだっ、くれっ」

「ざけんな」

「いいじゃんかよう、あ、マリっぺ、あたいらのチームのマークも作っておくれよ」


 不良の姫川と高木も寄ってきた。


「おまえら、パーティの名前決まったの」

「きまったぜー、聞いて驚くな『ラブリーエンゼル』だっ」

「カワイイだろう、へっへー」

「君たち、本当にそれで登録したの?」

「なんだよ、東海林文句でもあんのか」

「やんのかこらメガネ」

「あだ名が『ダーティペア』になるぞ」

「なんでだよ」

「わけわかんないこというなっ」

「そういうアニメがあったんだよ」

「東海林、隠れオタク~~」

「だっさっ」


 東海林は頭をかかえた。


「いかん、確実に『ダーティペア』って呼ばれる」


 『ダーティペア』に後ろから拳骨が降った。


「おまえら、タカシに絡むなって言ってるだろうがっ」

「い、いえ、後醍醐先輩、からんでたのは東海林で」

「このメガネキモイ事いいやがるんで」

「良いから失せろ、俺の朝の憩いの時間をじゃますんなっ」

「へーい」

「はーい」


 『ダーティペア』は後醍醐先輩には素直なんだよな。


「お、ワッペン出来たのか、良いなあ、マリちゃん、うちのもデザインしてくれよ」

「ええ、良いですよ」

「うれしいぜっ、金は言い値で払うからよっ」

「わかりました」


 『迷宮ぶっ壊し隊』のマークはどんな感じになるんだろう。

 ちょっと気になる。


「しかし、タカシお前、あっというまにD級で追いつかれちまったなあ」

「鏡子ねえさんが強いですからね」

「ばっきゃろ、鏡子姐さんがスゲえのは当然だが、お前もすげえし、みのりんもすげえし、泥舟もすげくなったし、チアキちゃんはカワイイし、『Dリンクス』に死角はねえよ」

「魔長銃はすごいしろものだよね、普段は魔力弾、いざとなったら魔石弾で突破できそうだよ」

「中長距離が埋まったのはありがたいね」

「うちもうかうかしてらんねえな、すぐミノタウロスをぶっ倒してC級に行きそうだぜ」

「後醍醐先輩は今、何階ですか?」

「今は二十三階だ、敵が強くなってきて厳しいぜ」


 教室の後ろのドアがあいてチヨリ先輩が踊りながら入って来た。


「みなさま『おはようおはようおはようございます~~♪ すてきな朝、青い空、白い雲に今日の元気をはじけさせましょ~~♪』」


 【おはようの歌】が十八番になってきたな。

 だんだん歌のレベルが上がって来てる感じもする。


「まあ、リンクスのワッペン出来たのね~、素晴らしい出来だわ~、グッズ販売とかはどこかにお任せになったの?」

「いや、そこらへんはまだですよ」

「お父さんがなんか関連会社を手配してくれるって言ってたよ」

「峰屋さまのコネクションなら問題はありませんね。リーディングプロモーションでもグッズやってますが、そんなに強くありませんから」

「いいなあ、俺たちのグッズも作りてえぜ」

「おほほほ、チョリグッズは色々出てましてよっ、団扇にアクキーにブロマイド」

「そりゃおめえは芸歴長いしな」

「みのりさんのグッズ展開はいかがかしら」

「んー、デビューはまだですからねえ、アルバムが出来てからじゃないかな」

「くうっ、デビューアルバムがマリア・カマチョさまとのデュエットだなんて、世界的にセールスが凄そうですわあ、妬ましい」

「あはは、凄く勉強になってますよ、マリアさん凄いから」


 おっと先生が来た。


「おーう、みんな席につけ~、後醍醐と北村は自分のクラスにもどれ~」

「へーい」

「はーい」


 うん、いつもながらの学校の朝でほっとするな。

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