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第181話 望月先生無双が始まった

 チュドーン!!


 望月先生が試験管をゴブリン二匹に投げつけると大爆発が起こって奴らは粉々になった。


「「「「……」」」」

「ちょ、ちょっと威力が強かったかな、ははは」

「せんせい、そんな危険物を付けて車に乗ってたんですか」

「い、いやあ、ここまでとは僕も思わなかったなあ、ははは」

「事故ってたら宮川先生の車と先生方が全滅でしたね……」

「望月先生~~」


 というか危ないなあ、腰にむき出して何本も付けていたよこの先生。

 赤い試験管だから、あと三本ある。

 いきなりヤバイ方向に攻撃力があがったなあ。


「乱戦になって試験管を壊されると大災害なので収納袋に入れておきますよ」

「そ、そうだね、ははは」


 望月先生の渡す試験管を全部収納袋に入れた。


「何の薬を作ってきたんですか?」

「『ホワッツマイケル』のテレサさんにメールで色々教えてもらって試しに作って見たんだよ、いやあ、凄い爆発だ」

「青い試験管は?」

「それは冷凍薬、紫のが毒ガス薬、赤が爆発薬だよ、全部、市販の材料の調合で出来てるんだ」


 テレサさんはもー。

 最前線で使うような薬のレシピを教えるなよなあ。


「毒ガス薬は使いにくそうですね」

「でも、小部屋が並ぶ系の階では投げ込むだけで済むから便利らしいよ」


 酷い攻略してるなあ、テレサさん。


「麻痺とか睡眠とかの薬を作ってくださいよ」

「そ、そうだね、麻痺薬は便利そうだ、今度テレサさんに聞いてみるよ」


『ボンバー望月』

『というか、七十階で使えるレシピを教えられたっぽいな』

『アメリカ人大雑把だからなあ』


 とりあえずゴブリンはバラバラになっても、ちゃんと経験値の霧に変わり、魔石も一個落ちてきた。


「あ、レベルアップしたわっ、これで七レベルね、そろそろ『僧侶』行けないかしら」

「帰りに見て貰いましょう」


 今、俺たちは四階で絶賛狩り中である。

 一発目に出たゴブリンに望月先生が赤い試験管を投げつけたのであった。

 先制には良いんだが、乱戦になると使いにくそうだなあ。


「先生、角兎来ました!」


 びょーんびょーんと三匹の角兎が近づいてきた。


「タカシ君、青い奴をください」

「はい、望月先生」


 先生はオーバースローで青い試験管を投げた。

 が、角兎は敏捷に避けたので、地面で砕けた。

 シュワッと冷気が広がり、一匹の角兎の後足を氷つかせた。


「ナイスです、望月先生」


 竹宮先生が重心を落として弓を撃った。

 後足が凍り付いて動けない奴に当たり仕留めた。

 弓の弦はヒュージスパイダーの糸に変えてある。

 威力がかなり上がってびっくりした。


 角兎は残り二匹。

 宮川先生が落ち着いて丸盾で角兎の攻撃を弾き、片手剣で切り裂いた。

 うん、さすがに良い剣に変えたので一発だね。


 残り一匹をマリちゃんがムカデ鞭で動きを止め、宮川先生が切り裂いた。


「錬金術師との連携が難しいですね。あと、一回に試験管一つ使っちゃうのでもったい無いです」

「そうだねえ、麻痺薬を入れた水鉄砲で戦うべきかなあ」

「それが良いかもしれませんね」


 というか、十階でボスが動きだす前に爆破試験管を床に撒いておけば一斉起爆でクリアできるかもしれないなあ。

 結構癖があって難しい職業ジョブっぽいね。

 テレサさんは深部でどうやって戦っているのだろうか。


「お、居た居た、タカシー、あたしらにも配信料くれ~」

「『ラブリーエンゼル』とレイド組ませてやんよ~~」


 うわ、ダーティペアが来た。


『ぶぶっ、『ラブリーエンゼル』」

『どっちがユリで、どっちがケイだ、つうか、ケイしかいねえw』

『なんとも図々しいのう』


 やっぱり笑われたか。


「今、三パーティレイドになってるから、もう入らないよ」

「えー、ナンデだよ、よし東海林が抜けろ、換わりにあたいらが先生守ってやっからよう」

「東海林が抜けたら解説居なくなるだろ、おまえらに解説できんのか」

「ああ、確かに、クソメガネは解説に役に立ちそう」

「ちくしょう、あたいらも楽して儲けてえのにっ」

「普通に狩りしろ。あと、他のメンバーも探せ、二人で六階以下に行くなよ、死ぬぞ」

「あ、ああ、解ってんよ、六階降りたら殺すって後醍醐先輩にも言われてっしよう」

「あの人切れるとこええんだ」


 本当に後醍醐先輩の忠告のありがたさが解ってねえな、この『ダーティペア』は。


「ゴブリン二匹は倒せるようになったのか?」

「ああ、あいつら丁度隣町のヤンキーぐらいの強さだからよ」

「二対二なら負けねえっ」


 スキル【喧嘩】とか付いてそうだな。


『なんだか、『地元最高』に出て来そうな頭の悪さだな』

『ヤンキーとか半グレとかは、基本知能が低いからなあ』

『真面目に努力すれやー』


「君たちこれあげるよ」


 望月先生が黄色い試験管をダーティペアに渡した。


「なんこれ?」

「アッパー系、ダウナー系?」

「僕の作ったポーションだよ、効き目はドロップ品の半分ぐらいだけど、ちょっとした傷なら治るよ」

「お、いいじゃん、望月っち、あんがとな」

「これで、ドロップしたポーションを使わないですむぜ」

「ポーションドロップしたのか」

「おおよ、ゴブリンさんからの贈り物だ」

「出た時は声がでたなあ、嬉しかった」

「ドロップのポーションは効き目強いから溜めとけよ」

「わあった、じゃな」

「またなー」


 ダーティペアは去って行った。

 なんだかんだ言って、だんだん迷宮に順応してる感じだな。

 防具もちゃんと付けてるし。

 四階五階でレベル上げしていけばわりと安全だろうな。


 さて、狩りを続けよう。

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