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第184話 フロアボス攻略の意外なメンバー

 先生方三人がジョブを得て一安心って所だね。


「これで一段落ですか」

「そうだね、だが、フロアボス戦まで見ていてくれないだろうか」

「ええ、構いませんよ」

「ありがたい、ありがとう新宮」


 あと一人欲しい所だけれど、最悪チアキに長銃と拳銃を持たせて無双させれば十階フロアボスは乗り切れる気もするな。

 誰かもう一人居ないだろうか。

 ダーティペア以外で。

 魔法使いが良いんだけどな。


 皆でご飯を食べようということになって地獄門をくぐった。

 リボンちゃんたちに手を振った。

 また明日ね。


 街はもうすっかり暗くなっていた。


「おーい、タカシ~~」

「タカシくーん」


 今日もみのりと鏡子ねえさんがやってきた。


「こんばんはあ~~」

「コバンワ~~」


 今日はマリアとキャシーも一緒か。


「どうした? キャシー、マリアさん」

『『Dリンクス』で食事に行くって聞いたから付いて来た、なにか川崎らしいものをたべさせなさいよっ』

「ツイテきました」


 そんな事言ってもなあ。


「いいですか先生?」

「ふわあああっ、マリア・カマチョさんっ、学生時代からファンでした。おめにかかれるとはっ」

『宮川先生は会えて光栄だって言ってますよ』

『そうですか、こちらこそファンの方にお目に掛かれて嬉しいですよ』


 宮川先生の言葉を竹宮先生が通訳した。

 先生は英語教師で【多言語理解】持ちだしね。

 宮川先生はニコニコ笑ってマリアさんと両手で握手を交わした。


『キャシーは十階のフロアボス倒したかい?』

『あったりまえでしょ、サーバントスキルを見つけたのは十二階よ』


 あれ?


『マリアさんはフロアボスは?』

『こなしていませんよ。マイケル達に連れられて深い階で歌ってるだけだし』

『レベルは幾つですか?』

『三十四ね』


 意外と即席養殖なんだな。

 とはいえ、世界の歌姫を学校パーティのフロアボスアタックにつれて行くのはなあ。


『マリアさん、今度私たちフロアボス戦に挑むんです、『吟遊詩人バード』として参加してくれませんか』


 全員マリちゃんの大胆な発言に凍り付いた。


『ワーウルフ戦ね、楽しそう、参加したいわ』

「「『『マジ』』」」


『ちょっと正気なの、マリア』

『だって、マイケルと一緒だと、[謡]ばっかりで退屈ですもの。『吟遊詩人バード』の戦いもしてみたいわ』


 みのりが俺の近くに寄ってきた。


「これは困りましたね、たかしくん」

「『Dリンクス』全員で十階まで送るか」

「世界の歌姫を半グレが怪我させたりしたら国際問題ですものね」

「そりゃ楽しそうだなあ」


 鏡子ねえさんは暢気だな。


「せ、世界の歌姫の歌をバックに戦えるのか」

「と、とんでもありませんね」

「『吟遊詩人バード』はありがたいですけれども、気後れしますわね」


 宮川先生は気を取り直してマリアさんとキャシーに向き直った。


『それデハ、親睦がてら晩ご飯をご一緒しまセウ』


 川崎らしい所……。

 焼肉屋さんでも行くかな。


『キャシー、焼肉屋さんは行った?』

『ステーキハウスなら行ったわよ』


 ああ、焼肉屋さんはまだっぽいな。


「先生、焼肉屋さんにつれて行こう」

「叙々苑かい?」

「い、いや、さすがに叙々苑は、『暴れ将軍』で良いんじゃ無いかな」

「そ、そうだね」


 川崎には叙々苑もあるけど、さすがに値段が高すぎる。

 セメント通りまで行けば老舗もあるんだけど、駅前だったら『暴れ将軍』かな。

 普通の焼肉屋さんで接待しましょう。


「焼肉!!」


 チアキが目を輝かせた。


「焼肉!!」


 鏡子ねえさんも目を輝かせる。


 皆で陸橋を渡って東口階段を降りる。

 地下街を通って、さいか屋の前で地上に戻る。

 チネチッタで曲がって中を通っていく。


『あら、なにか不思議な感じの場所ね』

『映画街だよ~、イタリアっぽく作ってあるんだって』

『良い感じの雰囲気ね』


 外人さんたちにも評判が良いようだ。

 チネチッタを抜けた所に『暴れ将軍』という焼肉のお店はある。

 先生が聞いてみると個室が空いているそうだ。

 うん、世界の歌姫がいるから個室がいいね。


 なんとなく、内装が赤くて昭和っぽい感じのお店だ。

 二階の掘りごたつ風の席に案内された。


『ここはステーキハウスなの?』

『焼肉屋さんだ、薄く切ったお肉を焼くのだ』

『そうなんだ』


 コンロは丸形の奴だな。


「焼肉!」

「焼肉!」


 なんだか鏡子ねえさんとチアキは肉食女子だよなあ。


「とりあえず、世界の歌姫さんとキャシーさんもいるので特選コースをたのもうか」

「そうですね、竹宮先生の職業ジョブ獲得祝いですから」

「あら、こまってしまいますわ」

『あの先生、職業ジョブチェンジしたの、ミノリ?』

僧侶プーリストになったのよ』

『まあ、僧侶、それは素晴らしいわ』

『僧侶はどこでも不足してるのよねえ』


 お肉がどんどん運ばれて来て、それを目の前のコンロで焼く。

 ああ、良い匂いでテンションがあがるなあ。


「ライスとワカメスープくれー」

「わたしもわたしも」

「みのりと泥舟はどうする?」

「私はご飯はパス」

「僕はご飯だけ貰おうかな」


 先生方は飲み放題を頼んでビール飲んでるな。


「ねえさんはお酒は」

「いらん、肉!」

「肉!」


 肉食女子は潔いな。


『なにこの肉、うまっ!』

『美味しいし、ワイワイとした雰囲気でバーベキューみたいね、キャシー』

『ああ、BBQなんだわね。わ、ピクルス、辛っ!』


 キャシーがキムチを食べてしかめっ面をした。

 チアキとねえさんが凄い勢いで食べているな。

 相撲取りかねえさんは。


 みのりも泥舟も笑顔で食べている。

 ああ、焼肉はいいな。

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