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第207話 学校に行くと東海林が騒がれる

「タカシくんっ! 東海林くんが騒がれているよ、大変だよっ」


 あいかわらず、みのりは俺が登校するとデデデと走り寄ってくるな。

 今日はクラス内が騒がしかった。


「「「『イケヌケ東海林』!! 『イケヌケ東海林』!!」」」


 東海林を囲んでクラスメートがわっしょいわっしょい状態だ。


「やっぱすげえよなあ、【ドラゴンファイヤー】」

「池が一瞬で蒸発だし、水蒸気爆発だしなあ」

「これで『オーバーザレインボー』もSクラス確定だねっ」


 東海林はみんなに囲まれてちょっと困っているな。


「あれは、新宮がくれたスペルだからさ。あっ、新宮おはようっ」

「おはよう、騒がれてるなあ」

「凄いスペルだからしかたが無いね」


 『ダーティペア』がずずずいと進んできた。


「おい、クソメガネ、特別に『ラブリーエンゼル』に参加することをゆるしてやる」

「よろこべ、おらっ!」

「ええ、嫌だけど」

「あんだと、おらっ!」

「メガネに拒否権有るとでも思ってんのかー、あー?」


 相変わらず『ダーティペア』は知能指数が低いよな。


「おまえら、他のメンバーはいないの?」

「お、おう、二人だけだ、話は持ちかけてんだけどよお、みんな逃げやがる」

「こんなキュートなJKパーティなのに、普通断るか? なあっ」


 いや、普通に断るだろう。

 頭悪そうだしなあ。


「不良のつながりで入れれば良いじゃんよ」

「不良はみんな戦士か盗賊で駄目だっ」

「そうだ、魔法使いか僧侶が良い、戦略に幅がでねえっ」


 ああ、それで、断られ三昧か。

 切ないなあ。


「泥舟くれよ、銃士ガンナーだし、足軽だし、使い勝手いいじゃん」

「みのりでもいいぞっ、あー?」


 いや、いちいち凄むなって。


「あ、いかん先輩きた」

「にげろっ」


 後醍醐先輩がやってきた。

 この間に席に付こう。


 俺が席に付くと、みのりが吉田の席に、東海林とマリちゃんが椅子をもってきて座った。


「おー、東海林、やっぱレグルス陛下の魔法すげえなあ」

「ええ、使って見てびっくりですよ」

「池の水全部抜いちまう威力だからなあ、うちも欲しいぜ」


 先輩の所の『迷宮ぶっ潰し隊』も魔法使い居ないんだよな。


「魔法職は地頭の良さが要るから、なかなか居ないのよねえ」

「オタク連中なら結構魔法使いいるんだけどよ、話が合わないからなあ、居着かねえ」

「命が掛かってますからね、パーティのまとまり的に難しいですよね」


 それでもまだ後醍醐先輩の所は先輩が僧侶だから良いよな。

 他の不良パーティは『ダーティペア』とどっこいどっこいだ。


「タカシんところは、今日は狩りか」

「ええ、オバケ地帯まで行ってみようかと」

「オバケコワイ~~」

「アンデット特効の歌あるだろ」

「昨日覚えた~~『おばけなんかこわくないさ~~、おばけなんかいない~~、なんかの見間違いだし死んだひとは帰ってこない~~♪』」


 これが【オバケ嫌いの歌】かあ。

 わりと陰気な旋律だなあ。


「効果はどんなもんだ?」

「わかんない、ネットでは【鎮魂ターンアンデッド】に近い効果があるっていうけどね。先輩は【鎮魂ターンアンデッド】の奇跡は?」

「まだ取れてねえ、というか、マミーから出るらしいんだが、おまえら出た?」

「マミーからは乳飲料のマミーしか出なかったよ」

「あと、包帯」

「もしも出たら、藍田さんにあげてくれないか」

「ずりーぞ、おまえらばっか、俺んちにもくれよう」

「出たらあげるよう」

「オバケ地帯で出るんじゃないかな」


 がらりと戸が開きチヨリ先輩が入って来た。


「あ~あ~~♪ オバケ嫌いの歌が手に入ると~~♪ コモン楽譜スコアはコンプリートなの~~♪ 出たらくださいな~~♪」

「死に職業だったのはコモンが揃えやすくて良いよなあ。僧侶の奇跡は慢性的に品薄だぜ」

「私もラッキーだったわ、レア楽譜スコアとレアスキルは買えなかったけれども」

「出たら上げますよ」

「ほんとう、嬉しいわタカシくんっ」


 学校のパーティには融通しないとね。

 でも、知り合いの僧侶さんは、後醍醐先輩と藍田さんと竹宮先生か。

 オバケ地帯で沢山出れば良いんだけどな。


「まあ、臨海第三で融通しあってパーティのレベルを上げて行こうぜ」


 マリちゃんが、後醍醐先輩とチヨリ先輩に紙を渡した。


「これ、マーク案、二三作ってきましたよ。気に入ったのが有ればいいんですけど」

「おおおおお」

「わああああ」

「いいな、これっ! メンバーに聞いて決めてくるぜっ」

「あー、私のも良いわ~~、鳥なのねえ~~、うふふっ」

「そういや、チヨリの所、パーティの名前付いたか」

「ええ『ハチ鳥ハミングバード』になったわよ」

「じゃあ、ロゴも被せますね」

「おねがいね、社長も喜ぶわ」


 『ダーティペア』がお預けを食らった犬みたいな顔でこっちを見ているな。


「『ラブリーエンゼル』さんのはこれです」

「「ぎゃ~~!!!」」


 やかましいわっ!!


「すげえ、すげえぜ、マリッペ!! これだー、これしかねえっ」

「あっはっは、凄い凄い、私らのマーク!! うれしーっ!! 金、金をはらうぜっ」

「ああ、良いですよう、クラスメートだし」

「おまえ良い奴だなっ、マリッペ」

「気にくわない奴がいたら言え、ぼこってやっからようっ」

「はははは」


 本当になあ、『ダーティペア』は『ダーティペア』だよなあ。


「おーう、ホームルーム始めるぞ~~、後醍醐と北村は自分のクラスに帰れ~」

「へーい」

「はーい」


 先生が来て、今日の授業が始まった。

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