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第212話 従魔創造の秘密

『おお、『片靴下』のレアドロップじゃ、やはり【豪運】持ちが居るのう』


 レアドロップなのか、なんだろうこれ?


『どうやって使うもんすか、余さん』

『魔石から従魔を創造できる特殊オーブじゃ、その魔物を倒したパーティに懐いて忠誠を尽くすぞ』

『『『『『すんげーっ!!』』』』』


 おお、ではケロベロスを従魔に出来るのか。

 魔石あるもんな。


「生ケロちゃん!」

「ピクシーちゃんを従魔にはできないのね~」

「なにげにカメラピクシーはレベル高いからなあ、倒して無いし」


 順当に行くとケロベロスか、魔物の格が高いしな。


「ワンコワンコ! でっかいワンコ!!」


 泥舟が顔を上げた。


「タカシ、レグルス陛下の魔石は?」

「「「「あっ」」」」

『『『『『あっ』』』』』


『うわ、陛下は不味いのう、魔石があるなら可能じゃが』

『りゅ、竜騎士狙えるじゃんよっ! 新職業!!』

『戦闘スタイルがなあ、泥舟が槍士だったら良いんだが、タカシの退魔片手剣スタイルとは合わないぜ』

『ドラゴンテイマーはロマンだ!』


 コメント欄で喧々諤々の論争が始まった。


『レグルス陛下を従魔にしたとして、ロビーで遊んでるあの人はどうなるのですか?』

『切り離された魔石から再構成される従魔じゃ、レグルス陛下とは違う存在になるな』


 従魔を作って一番頼みたいのはみのりの護衛だな。

 ドラゴンだと乗って歌ってくれれば結構安全だ。

 現時点だと最強の選択肢がレグルス陛下の魔石でドラゴンを作るだが……。


「ワンコワンコ~~」


 チアキはワンコが欲しいようだ。


 かーちゃんが議論の流れをみて苦笑していた。


「みんなで話し合ってきめ、従魔も大事なパーティメンバーやからな」

「そうだね、かーちゃん」

「ほな、うちはそろそろ行くで、次にどんな子を創ったか見せてな」

「ありがとう、またな、かーちゃん」


 かーちゃんは笑って粒子になって消えていった。


「ねえさんどうする?」

「ワーウルフの魔石は、もう売ったか?」

「売った」

「残念っ、だとしたらケロベロスかな、レグルス閣下は性格が……」

「違う存在だけど……、まあ、レッドドラゴンだとアレかあ」

「ブレスを吐きまくれるのは良いけど、ちょっと使いずらいね」


 ゴブリンとかスライムの雑魚は却下だな。

 現在、ハイオークやオーガー、トロールの魔石はあるが……。


「トロールさん従魔にするとムーミン化しないかな?」

『『『『『しない』』』』』

『せんわい。版権が危ないわい』

「じゃあ、フラッシュネズミさんを……」

「みのり、ギリギリを攻めるのはやめるんだ」


 まあ、ポケモンみたいな感じになるのか。


『ああ、ちょうどポケモンみたいに、普段は珠に入れて置いて必要な時に呼び出す事もできるぞ、何しろ創造じゃからな』

『『『それは便利!』』』

『これは早く使った方がいいね』

『『ホワッツマイケル』のマッドサイエンティストに取られる恐れがある』


 たしかにテレサさんはこういうの好きそうだ。


「みのりの護衛に従魔が使いたい、みのりはドラゴンと犬とどっちがいい?」

「ええ~~、わ、私が決めるの~~?」

「いぬいぬ!」


 チアキはワンコ推しだな。


「ケロベロスだと、地上戦でかなり安全になる。かなり強い。で、ドラゴンだが、ブレスが強くて空を飛べる、ただ、ホバリングは出来ないだろうし、通路迷宮だと徒歩だ、『吟遊詩人バード』だと一撃離脱はあまり意味が無いかもしれない。だが、三階のようなオープンフィールド階なら空からの偵察ができる」

「うーんうーん」

「いぬいぬ、もふもふできるよっ、頭三つだけど」

「もふもふ」

「あ、珠になるならチアキに持たせて小学校でのガードにできるな」

「あー、小学校ならドラゴンよりワンコだねえ」


 いや、どっちも小学校には似合わないと思うが。


「じゃあ、わんこで! ドラゴンさんは正当な戦いで取った魔石じゃないからね」


 確かに、イレギュラーな成果だしな。


「泥舟の意見は?」

「ケロベロスの方が使いやすそうだよ。敏捷性が凄かったし」

「ひょいひょい避けてたし、もふもふだからな」

「よし、じゃあ、ケロベロスを創ろう」

「ああ、先生達にも貸せるし良いか」

「『Dリンクス』にしか懐かないんじゃないかな」

「チアキちゃんも十階のフロアボス倒さないといけないから」


 マリちゃんには懐くのかな?

 『創作者クリエイター』のレベル上げにも使えそうだな。


「じゃあ、みのりがやってくれ」

「ええ、私ですか、リーダーのたかしくんがやってよう」

「一番恩恵を受けるのがみのりだから好感度が上がるように創ってくれ」

「しょうがないなあ、で、どうすれば良いのかな」

「いぬいぬ」

『魔石の上に【従魔創造】の珠を置いて念じるのじゃ』

『まあ、主人公パーティの仲間にはケロベロスと古来から決まっているしな』

『メガテンの頃だろ、ペルソナだとあまり、犬のペルソナで出たけど』


 俺はケロベロスの魔石を床に置いた。

 みのりがこわごわと【従魔創造】の珠を上に乗せる。


「みんな祈れ」

「いぬいぬ」

「わんこわんこ」

「性格が良い子が生まれますように」

「みんなを守ってくれる強い子が生まれますように」

「みのりとチアキを守ってくれる頼もしい子が生まれますように」


 全員で祈ると、みんなの心臓あたりから魔力が這い出して珠に吸い込まれた。


『『『『おおおお』』』』


 珠は魔石に吸い込まれ、魔石は卵のような形に変わり、ピキピキとひび割れが入って、ぼかんと割れた。

 煙と共に大型犬ぐらいの大きさの灰色で片足だけが白いワンコが出て来た。

 あれ、首が一つだ。


「ワオーーーン」


 おお、なんだか格好いい。


「さあ、名前を付けてくれ、みのり」

「え、そうねえ……」

「『くつした』お前は『くつした』だっ!!」

「「「「……」」」」


 チアキが抱きつくと『くつした』は嬉しそうに彼女の頬をべろべろ舐めた。


「ふわふわだー、もふもふだ~~」


 従魔くつした、爆誕である。


『チアキちゃん、ネーミングセンス……』

『かわいくていいじゃん、くつしたにスパチャを上げよう』

『俺もくつしたにスパチャだ、だけどなんで首一つ? ダイヤウルフのようでござる』

『レベルアップで生えるんじゃないのか?』

『そういうもんなのか?』


 くつしたにむけてジャリンジャリンとスパチャが投げられた。

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