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第214話 二十四階を抜けて行く

 二十四階で小休止してから、移動開始する。


 この階からストーンゴーレムが出る。


「ストーンゴーレム一」


 さっそく出て来た。

 ズシンズシンと通路を岩の巨人が歩いてくる。


『堅いぞ~~、鈍器が有効。鏡子さんが有利かな』

『『金時の籠手』の[楔]で内部破壊が良いかな』


 バキューン!!

 ガシッ!


 泥舟の魔力弾は表皮で跳ね返った。


「堅い」


「『ぐるぐるぐるぐる♪ おまわりおまわりなさい~~♪ 空も地面もぐーるぐる♪ 足下ぐらぐら気を付けて~~♪』」


 ストーンゴーレムはぐらりと揺れて地面に足を付いた。

 上手いぞ、みのり。


 くつしたが体当たりをしてストーンゴーレムをひっくり返した。

 鏡子ねえさんが馬乗りになって見えないパンチを連打した。


 ドガガガガガ!!


 【気配察知】で感知出来る魔力の中心あたりを砕いたな。

 がくっとストーンゴーレムは力が抜けて動かなくなった。


 よし、ねえさんの獲物だな、これは。

 『暁』は怖くて使えなかった、岩だしなあ。


 ブワッとストーンゴーレムは粒子になって消えて行く。

 魔力の霧が発生すると同時に魔石とドロップ品が落ちた。

 ドロップ品は『岩おこし』であった……。


 袋を開けてねえさんはもしゃもしゃ食べ始めた。


「お、意外に美味い」

「ほんとだ」


 しばし、みんなで足を止めて、岩おこしタイムであった。

 ポリポリ。


「急所を見つければ、[楔]で一撃死できるかなあ」

「銃も剣も効かなそうだね」


 鈍器で内部構造を壊すのが定石のようだ。


 さて、先に進もう。


「キングトード三」


 カエルシリーズの最高位、キングトードが出た。

 巨大なカエルである。

 ゲロゲロ鳴いている。


『ゆっくりゆっくりゆっくりなりたまえ~~♪ あせってもしかたがないからのんびりいこうじゃないか~~♪』


 【スロウバラード】が掛かって、三匹とも動きがゆっくりとなった。


 ビュワっと舌を伸ばして攻撃してきた。

 『浦波』で自動防御して『暁』で切りつける。

 シュパンと舌を切断できた。


「「「がおおおおおんっ!!」」」


 くつしたの頭が三つに増えて【咆吼】した。

 ビリビリと下っ腹に響く吠え声だ。


 ビクリと動きを止めたキングトードに向けてくつしたは三つの頭から業火を吐きだした。


 ゴワアア!!


 キングトードが一匹焼け死んだ。


 鏡子ねえさんが距離を詰め、左右でワンツー、ばらける見えないパンチ。


 ドガガガガガ!!


 ゴブリ、と血を吐き出してキングトードは死んだ。


 ダキューン!

 バキュンバキュン!


 鈍いのか弾丸を受けてもキングトードの動きは鈍らない。

 俺は踏み込んでキングトードの腹を切り上げる。

 内臓がなだれ落ちて、最後のキングトードは倒れた。


「でかいカエルだ」

「ぼよんぼよんしていた」


 カエルの死骸は粒子に変わり、魔力霧が発生し、魔石とドロップ品が落ちた。


 ドロップ品は、キングサイズカエル饅頭、あと、カエル玉が出た。


「おお、ラッキー」

「一階に戻れる玉だったっけ?」

「使うとパーティ全員がポータルホールに戻れるね」


 カエル系から出る便利な玉なんだけど、滅多に出ないんだよね。

 売店ではだいたい品切れで、外界で高値で売られている。


「うわ、いつものカエル饅頭の三倍の大きさがあるぞ」

「うまいうまい、味はカエル饅頭」


 さっそく開けて食べ始めるんじゃありません。

 しかし、でっかいカエル饅頭だな。


 ヘッドライトで先を照らしながら歩く。

 くつしたに乗ったチアキが先行して斥候してくれている。


「毒蛾、五」


 前方を一抱えもある毒蛾が舞飛んでいた。


「ぎゃー」


 みのりが悲鳴を上げた。

 蛾も駄目なのか。


 泥舟が胸の弾丸ホルダーから青い弾丸を長銃に詰めた。


 バキューン!!


 スライム散弾だ、毒蛾が二匹落ちた。


「『ぐるぐるぐるぐる♪ おまわりおまわりなさい~~♪ 空も地面もぐーるぐる♪ 足下ぐらぐら気を付けて~~♪』」


 残りの毒蛾はぶつかり合って地面に落ちた。

 くつしたの頭が三つに増えて業火を吐き出す。


 ゴワーーッ!!


 火炎ブレスは毒蛾を二匹巻き込んで焼き殺した。


 鏡子ねえさんがジャンプして最後の一匹を踏み潰した。


「ヨシ!」


 飛行敵には【ぐるぐるの歌】が効くな。


 毒蛾たちは粒子に変わり魔力の霧になった。

 コロコロと魔石とドロップ品が落ちてきた。


 ドロップ品は、しびれ薬の粉、聖典【麻痺解除アンチパラライズ】、毒蛾ナイフ、であった。


「お、これは……」

『切りつけた相手を確率で麻痺させるナイフじゃな』

「これ、使いたい」

「チアキが使うか」


 どうでも良いが、チアキは、ムカデ鞭に毒蛾ナイフと、昆虫系装備が重なるな。

 気配消しで近づいて、麻痺させられればラッキー、みたいな使い方ができるな。


『しかし、くつした有能だなあ』

『【咆吼】と、三つ首ブレスがチートすぎる』

『チアキちゃんが乗ってると、ムカデ鞭、拳銃でかなり強い』


 うん、良い従魔を仲間に出来たな。

 ドラゴンよりも使いやすいかもしれない。


 下り階段に着いた。

 この先が目的地の二十五階だ。


「オバケ階~~」

「ひひひ、早く行こうぜ」


 なんで、鏡子ねえさんは嬉しそうなのかね。

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