二十四階で小休止してから、移動開始する。
この階からストーンゴーレムが出る。
「ストーンゴーレム一」
さっそく出て来た。
ズシンズシンと通路を岩の巨人が歩いてくる。
『堅いぞ~~、鈍器が有効。鏡子さんが有利かな』
『『金時の籠手』の[楔]で内部破壊が良いかな』
バキューン!!
ガシッ!
泥舟の魔力弾は表皮で跳ね返った。
「堅い」
「『ぐるぐるぐるぐる♪ おまわりおまわりなさい~~♪ 空も地面もぐーるぐる♪ 足下ぐらぐら気を付けて~~♪』」
ストーンゴーレムはぐらりと揺れて地面に足を付いた。
上手いぞ、みのり。
くつしたが体当たりをしてストーンゴーレムをひっくり返した。
鏡子ねえさんが馬乗りになって見えないパンチを連打した。
ドガガガガガ!!
【気配察知】で感知出来る魔力の中心あたりを砕いたな。
がくっとストーンゴーレムは力が抜けて動かなくなった。
よし、ねえさんの獲物だな、これは。
『暁』は怖くて使えなかった、岩だしなあ。
ブワッとストーンゴーレムは粒子になって消えて行く。
魔力の霧が発生すると同時に魔石とドロップ品が落ちた。
ドロップ品は『岩おこし』であった……。
袋を開けてねえさんはもしゃもしゃ食べ始めた。
「お、意外に美味い」
「ほんとだ」
しばし、みんなで足を止めて、岩おこしタイムであった。
ポリポリ。
「急所を見つければ、[楔]で一撃死できるかなあ」
「銃も剣も効かなそうだね」
鈍器で内部構造を壊すのが定石のようだ。
さて、先に進もう。
「キングトード三」
カエルシリーズの最高位、キングトードが出た。
巨大なカエルである。
ゲロゲロ鳴いている。
『ゆっくりゆっくりゆっくりなりたまえ~~♪ あせってもしかたがないからのんびりいこうじゃないか~~♪』
【スロウバラード】が掛かって、三匹とも動きがゆっくりとなった。
ビュワっと舌を伸ばして攻撃してきた。
『浦波』で自動防御して『暁』で切りつける。
シュパンと舌を切断できた。
「「「がおおおおおんっ!!」」」
くつしたの頭が三つに増えて【咆吼】した。
ビリビリと下っ腹に響く吠え声だ。
ビクリと動きを止めたキングトードに向けてくつしたは三つの頭から業火を吐きだした。
ゴワアア!!
キングトードが一匹焼け死んだ。
鏡子ねえさんが距離を詰め、左右でワンツー、ばらける見えないパンチ。
ドガガガガガ!!
ゴブリ、と血を吐き出してキングトードは死んだ。
ダキューン!
バキュンバキュン!
鈍いのか弾丸を受けてもキングトードの動きは鈍らない。
俺は踏み込んでキングトードの腹を切り上げる。
内臓がなだれ落ちて、最後のキングトードは倒れた。
「でかいカエルだ」
「ぼよんぼよんしていた」
カエルの死骸は粒子に変わり、魔力霧が発生し、魔石とドロップ品が落ちた。
ドロップ品は、キングサイズカエル饅頭、あと、カエル玉が出た。
「おお、ラッキー」
「一階に戻れる玉だったっけ?」
「使うとパーティ全員がポータルホールに戻れるね」
カエル系から出る便利な玉なんだけど、滅多に出ないんだよね。
売店ではだいたい品切れで、外界で高値で売られている。
「うわ、いつものカエル饅頭の三倍の大きさがあるぞ」
「うまいうまい、味はカエル饅頭」
さっそく開けて食べ始めるんじゃありません。
しかし、でっかいカエル饅頭だな。
ヘッドライトで先を照らしながら歩く。
くつしたに乗ったチアキが先行して斥候してくれている。
「毒蛾、五」
前方を一抱えもある毒蛾が舞飛んでいた。
「ぎゃー」
みのりが悲鳴を上げた。
蛾も駄目なのか。
泥舟が胸の弾丸ホルダーから青い弾丸を長銃に詰めた。
バキューン!!
スライム散弾だ、毒蛾が二匹落ちた。
「『ぐるぐるぐるぐる♪ おまわりおまわりなさい~~♪ 空も地面もぐーるぐる♪ 足下ぐらぐら気を付けて~~♪』」
残りの毒蛾はぶつかり合って地面に落ちた。
くつしたの頭が三つに増えて業火を吐き出す。
ゴワーーッ!!
火炎ブレスは毒蛾を二匹巻き込んで焼き殺した。
鏡子ねえさんがジャンプして最後の一匹を踏み潰した。
「ヨシ!」
飛行敵には【ぐるぐるの歌】が効くな。
毒蛾たちは粒子に変わり魔力の霧になった。
コロコロと魔石とドロップ品が落ちてきた。
ドロップ品は、しびれ薬の粉、聖典【
「お、これは……」
『切りつけた相手を確率で麻痺させるナイフじゃな』
「これ、使いたい」
「チアキが使うか」
どうでも良いが、チアキは、ムカデ鞭に毒蛾ナイフと、昆虫系装備が重なるな。
気配消しで近づいて、麻痺させられればラッキー、みたいな使い方ができるな。
『しかし、くつした有能だなあ』
『【咆吼】と、三つ首ブレスがチートすぎる』
『チアキちゃんが乗ってると、ムカデ鞭、拳銃でかなり強い』
うん、良い従魔を仲間に出来たな。
ドラゴンよりも使いやすいかもしれない。
下り階段に着いた。
この先が目的地の二十五階だ。
「オバケ階~~」
「ひひひ、早く行こうぜ」
なんで、鏡子ねえさんは嬉しそうなのかね。