半グレ達が引き下がったが、魔物達の攻撃は中止されないね。
まあ、半グレと魔物は関係無いからしょうがないんだけどさ。
でもまあ、山下さんが強いので、ゴリ達にもあまり魔物は廻ってこない。
なんだかケインさんが大人しくなったな。
ゴリラ達の強さを実感出来たからかな。
ヒカリちゃんがピュンピュン弓を撃っているけど、ミキちゃんとヤヤちゃんの動きが無くなったね。
「動きをセーブしてるの?」
「そうですよ、MPの上限があるので、一般の魔物には使わないで貯めてる感じです」
「なるほどねえ、ヤヤちゃんもかあ」
「はい、というか、戦闘前に掛けられる奇跡は【
「魔法職は大変だよねえ、ヒデオはゴリちゃん達の使役にMPは使わないの?」
「特に使わないねえ。というかMPが解らないね、使った事が無いし」
「魔法使いとか、僧侶とか、吟遊詩人とかやらないと解らないよねえ。私もわかんないです」
『
『
歌と初歩の魔法が使えて、短剣とか盾も装備出来る万能の職業らしい。
まあ、その分、特技をちゃんと伸ばさないとどっちつかずの性能になって良く無いらしい。
『
攻撃用の呪文はあまりなくて、回復呪文と補助呪文が多いらしい。
おじさん? おじさんは『
配信冒険者は最初に迷宮に入ると、もれなくこれになる。
特に特徴の無い
『
まあ、フロアボス戦をしたら、『
近接戦闘に特化されて、特典が付くらしい。
しらんけど。
九階の下り階段を見つけて下りていく。
というか山下さんは慣れているのか足運びに迷いが無いね。
すぱすぱと曲がって歩いて行っている。
出て来た魔物を山下さんが倒したり、罠を山下さんが解除したりした。
『
「なあに、十階は何階も来ているからね」
「偉いなあ、プロですねえ」
「いやいや、それほどでも」
山下さんはニコニコ笑いながら、ちょっと照れた。
うーん、良い人だなあ。
そんなこんなでフロアボスフィールドの前まで来た。
「それではヒデオさん、お願いします」
「解りました、というか、フロアボス強いですか?」
「ワーウルフがフロアボスなんですが、そんなには強くありません。お供のダイヤウルフ三匹の方が厄介かもしれませんね」
狼系のお供が付くのかあ。
「ヒ、ヒデオ氏、ゴリラを一頭、僕に着けてくれないか」
「うーん」
ケインさんよりも『サザンフルーツ』をガードしたいところなんだけど、どうしようかな。
「ヒデオさんなら楽勝だと思いますよ」
ボスフィールド前はちょっとした安全地帯の休憩所になっていた。
腹が減っては戦はできぬなので、お昼のお弁当を食べる事にした。
ケインさん一人が特製弁当で、他のわれわれはシウマイ弁当だね。
「たまに食べると美味しいのよね」
「シウマイ大好きですよ」
山下さんが水筒からお茶を出して、みんなに配った。
そうか、お茶も護衛の仕事かな。
では無いかもしれないけど、これは良いね、真似をしようかな。
「気を付ける事はありますか、山下さん」
「まずはダイヤウルフを集中攻撃して倒してください」
「ワーウルフは後で良いんですか」
「ダイヤウルフが敏捷なので厄介なんですよ」
さすが山下さんだ、アドバイスが具体的で良いね。
『たぶん、ヒデオのゴリラだけでクリアできる』
『ゴリラはチート』
『ケインが足を引っ張らなきゃ行けるっしょ』
リスナーはお気楽に言ってくれるね。
とりあえず、誰かが怪我をしたら嫌なので頑張ろうではないか。
『『ウホウホ』』
ゴリラ達も同意見のようだ。
俺はシウマイを噛みながら気合いを上げて行く。
とはいえ、俺に出来る事はあまり無いんだけどねえ。
お弁当を食べおわったので、ヒモで括ってレジ袋の中に入れた。
ケインさんや山下さんの弁当のガラも貰ってまとめておく。
「さあ、行こう、ヒデオ」
「行きましょう、ヒデオさん」
「絶対勝ちましょう、ヒデオさん」
そうだね、みんなで一緒にフロアボス戦だ。
がんばるぞ。
山下さんを残して、フロアボスフィールドに踏み込んだ。
フィールドの中央で体を丸めて寝ていたワーウルフとダイヤウルフが立ち上がる。
ワオォォォォォォオォォォン!
遠吠えが轟く。
フィールドが一瞬光って閉鎖された。
これでどちらかが全滅しない限り、このフィールドは開く事は無い。