「それでだな。隼人はテストの結果どうだったんだ?」
「ギリギリ三者懇談は回避した」
「そっか。良かったじゃん!」
そう言って敬太はニカッ、と眩しくこちらの目が眩むような笑みを浮かべる。
照れくさいので目を逸らしてしまったが、彼なら大丈夫だろう。
「隼人、点数は?」
次は夏鈴が話しかけてくる。
負けず嫌いな性格なので、勝ち負けが決まらずにいて緊張しているのが目に見えてわかった。
「俺も勝負に混ざっていいのか……?」
「いいに決まってんじゃん!」
一度逃げた身が、と申し訳なさでいっぱいになっていたが、敬太の純粋な瞳を見ていたらなんだか気が楽になった。
「ちなみに今の点差は……」
「夏目さんは1069点で、俺達は1731点だ。点差は662点だな」
夏鈴の点数高すぎだろ。恐らくだが煌星もそれと同じくらいの点数──いや、もっと高いかもしれない。
「俺の点数は……」
家に置いてこずに、まだ鞄の中で眠っていた答案用紙を一枚ずつ丁寧に机に広げる。
たまたま近くにいたクラスメイトがミスの無いようにスマホの電卓アプリで計算してくれた。
「計算終わったよ」
少しの間、間違いがないか確かめてからクラスメイトはスマホの画面を覆い隠し、て俺達の前に立ちはだかる。
「青羽くんのテストの合計点数は──」
隣にいる夏鈴が大きく喉を鳴らした。そして俺は今更変わるはずのない、というか変えれない点数が少しでも高くなるように、と願った。
「671点です!!」
671点──ということは俺達の勝ちだ!
これは最後の最後まで言語文化を勉強したおかげと言っても過言ではないだろう。
「くっそぉぉぉッ!俺達の負けかよ」
敬太は大袈裟に悔しそうな表情を浮かべて机を叩いている。
「ははは……でも敬太ってばテスト勉強ほとんどしてなかったじゃん。誰のおかげでこんなに点数が高いと思ってるの?」
「ぎくっ!煌星さんのおかげです……」
「ちなみに二人の点数は?」
「俺が638で煌星が1093点だ」
11教科で1093点!?
少なくとも4教科は満点じゃないか。俺が死ぬ気で頑張っても6割しか取れなかったのに凄いな。
夏鈴は負けたのか。俺との喧嘩が点数に関係していたら嫌だな。
「一応言っておくけれど隼人は悪くないよ。私の勉強の仕方が悪かっただけだから。それにもう負けないし」
「そ、そうか」
顔に出てしまっていただろうか。変に気を使わせて申し訳ないな。
それはそうとして、追求心が強くて本当に頼もしい。俺は基本努力が苦手なので心の底から尊敬した。
そろそろ休み時間が終わりそうだったので、俺達は解散してそれぞれの席に戻った。