「カァーー」
口から牙を覗かせ、シャリルの首に噛みつき血が吹き出っるかと思いきや。
血は、ミリカの額から流れ出ていた。
「妙な感じがしたのよ、貴女からは死臭や邪悪な気配が漂って来るんですもの? やはり正体はヴァンパイアだったのね・・・」
シャリルは後ろに振り向きながら、メイスをミリカの額に当てたのだった。
「くっバレてたか、死ねぇっーー!」
ミリカは瞳を紅く光らせ、吠える様に声を上げ、正面のをシャリルに迫る。
シャリルは遅い来る彼女に恐怖を感じる事はない。
彼女は、懐から聖水瓶を取りだしミリカに投げる。
「不浄なるアンデッドよ、その魂を滅せよ」
『バリンッ』
聖水瓶はミリカの顔面に当り、砕け散ると同時に、中から聖水が漏れ出て来る。
『シュゥーー』
焼き肉を焼いた時、鉄板の上で肉と油が溶ける音と、物凄く嫌な臭いが鼻を突く。
「あっつい~~! あつぅう~~いっ!!」
ミリカは両手で顔面を押さえて転げ回る。
その様子はまるで熱湯を被ったようだ。
「ミリカ大丈夫かっ! くそっ前に聖水を被った時より酷そうだ」
『ザシュッ』
不意に何かが俺の体に刺さり肉が切れる音がする。
後ろを振り向くと、俺の着ている鎧の隙間に長剣が刺さっていた。
「戦いの最中に、よそ見しすぎだっ!」
「うるさい奴だっ!」
目の前の剣士が大きな声で怒鳴ると、俺は刺さった長剣を両手で押さえながら動く。
「くそっ抜けろ」
剣士は長剣を抜こうと暴れるが、一向に抜ける気配はない。
抜かれたら、俺は終わりだからな。
「抜かせるかっ!」
俺はさらに力を入れて刺さった長剣を握る。
そこへ、スケルトンも群がって来て俺に加勢し剣士に襲いかかる。
「くぁっ! しまったっ!! あぁーー!?」
俺とスケルトン達は奴が虫の息になるまでフルボッコにする。
だが、まだまだ殺しはしないぞ。
「アレリオーー!?」
慌てて、窮地に陥った彼を救出しようと即座に駆け寄るシャリルだったが。
「逃がさない、ない、ない、ないぃーーー『ガブッチューッ・・・ブチュッ』ぷはぁ美味しい~~い」
ミリカが背後から、シャリルの首筋に噛みつき。
彼女の傷はみるみる間に回復していく。
「ッ!」
シャリルはへたりこみ、首から血を流す。
そして、首に左手を当て右手は聖水瓶を取りだし、噛まれた部分に聖水を掛ける。
「消毒のつもり?」
『パァン』
シャリルの瓶をミリカのレイピアが突くと、簡単に割れてしまい、聖水が床に溢れた。
「残念ねぇ~~? もう少しで消毒出来たのにねぇーー」
「うるさいっ! ヴァンパイアめっ!」
そう言いつつ、シャリルに近づくミリカ。
そして、彼女はレイピアの剣先で顎を上げる。
「首を跳ねるのか?」
ジョージは何気なく聞いたが、ニヤニヤと不気味な笑顔を浮かべるミリカ。
「いいえ、そうねぇ? この人達結構強いから仲間にしましょうかなって、ねっ! 良いでしょーージョージ」
「仲間かぁ? いいな、そろそろ戦力も二人じゃキツイし、新戦力も必要だって前からずうっと話してたもんな」
アレリオとシャリル達の戦闘力に目を付けたミリカ。
彼女の話を聞いて、ジョージも仲間にしようと乗り気になる。
「ねぇ~~でしょでしょっ! ・・・じゃあってーー言う事でぇーー二人共私達の
「くそがっ! 誰がお前達のなっ!」
『ドンッ』
「黙れ」
ミリカが仲間に成らないかと勧誘したが。
剣士は即座に拒否したので、俺はすかさず彼の腹を蹴る。
「ぐうっ!」
「アレリオッ」
腹に感じた鋭い痛みに呻くアレリオ。
そんな彼を心配して、シャリルは叫ぶ。
「あんたさっきも彼の名前叫んでたわよねぇ~~? ふぅん? 彼アレリオって言うのお~~ふむふむっ! よく見ると結構なイケメンじゃないの彼・・・でっ! 貴女彼に恋してるんでしょ」
「なっ! 何を言っているの貴女は」
悪戯好きな子供のような笑顔でミリカが言うと。
シャリルは、図星ですと言わんばかりに顔を真っ赤に紅潮させた。
「あっ! 顔紅くなった、うふっ隠しても無駄よ、それよりサクッと血族化させてね~~」
「ふざけるなっ! 誰がアンデッド何かに成るもんか」
やはり図星かとミリカが言うと。
シャリルは反抗的な態度を崩さず、直も抵抗しようと悪態を吐く。
「うるさい子ねーー? 貴女の意志は関係ないのっ! スケルトンちゃん達ぃ~~ちょおっと手伝ってぇ」
ミリカに呼ばれたスケルトン達は、ガシャガシャと体を鳴らして動き出す。
これから何するんだと隣のスケルトンの肩を叩いて聞くスケルトン。
さあと、その質問に返す両手を上げるスケルトン達。
彼等は、訳も解らないまま、ミリカとシャリル達の元へ向かった。