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【伊藤博文・勝海舟】やっと出番がきましたか

 イギリスとの同盟が成立したことで、大日本帝国は次のターゲットをオランダ領東インド(現在のインドネシア)に定めた。オランダは地理的に遠く、援軍を送るのに時間がかかるだろう。それに、今の大日本帝国の海軍力なら、決して負けることはないだろうと、伊藤博文は楽観的に考えていた。戦略を練りながら、彼はすでに勝利後のことを考えていた。



「勝、待たせたな。いよいよ、お前の出番だぞ!」伊藤博文が言った。彼の声には、興奮と期待が混じっていた。



「やっと、海軍の出番ですか。北米では西郷将軍率いる陸軍が暴れ回りましたからね。今度は我々海軍の番です」勝海舟は胸を張って言った。その言葉には、海軍への誇りが滲み出ていた。



 勝海舟は腕まくりをして、すぐにでも戦闘に突入したいという気概を見せた。しかし、伊藤博文は冷静だった。これから始まる戦闘は、確かに重要だが、急いではいけない。



「どうだ、落とすのにどれくらいかかる?」伊藤博文が尋ねると、勝海舟は少し考えた後、言った。「そうですね、3日あれば十分かと思います」



 その言葉に、伊藤博文は少し眉をひそめた。勝海舟の自信は素晴らしいが、現実的に考えると少し盛りすぎのように感じた。



「それで、本当のところはどうなんだ? あまり長いと国民への負担が大きくなる」伊藤博文は真剣な表情で尋ねた。



 勝海舟は表情を引き締め、素直に答えた。「数ヶ月はかかるでしょう。なにせ、我が国から遠いですから。現地への物資補給も問題です。戦争をするだけなら、すぐに片付くのですが」



 その言葉を聞いた伊藤博文は一瞬考え込んだ。確かに、遠征の補給は大きな問題だ。そこで、彼は新たな案を思いついた。



「それなら、インドに拠点を作るのはどうだ? もしかしたら、イギリスが協力してくれるかもしれない。私から話をしておこう」伊藤博文は冷静に提案した。



「そうなれば、オランダ領東インドを陥落させるのも容易いでしょう。ぜひ、お願いします」勝海舟は目を輝かせて答えた。新たな拠点をインドに作れば、補給の問題も解決できる。彼の戦略眼が光っていた。



 イギリスと相談をした結果、意外な返事が返ってきた。「こちらも海軍を出しましょう」「領土も譲ります。代わりに、フランス領インドネシア連邦(現在のベトナム、カンボジア)の攻略時には手を貸して欲しい」という条件付きで。



「イエスだ。もちろん、我々も協力する」伊藤博文は即答した。彼は、これが大日本帝国にとって有益な結果になることを確信していた。


**


 数日後、勝海舟はオランダ領東インドを目指して出港した。海戦の準備は万端だ。しかし、勝海舟は心の中で不安を感じていた。シアトル攻略戦以来の海戦だったが、戦闘が久しぶりであったため、実際の戦いにおいて自分の勘が鈍っていないか心配だった。



 海上に出ると、鼓動が高鳴り始めた。オランダ領東インドは遠くに見えるが、海上戦闘が始まるとすぐにその感覚が鋭くなった。勝海舟は戦いの勘を取り戻すべく、心の中で何度もシミュレーションを繰り返していた。



「勝将軍。今回の戦い、勝てるのでしょうか?」部下の一人が不安そうに尋ねると、勝海舟は顔を真剣にして答えた。



「そんなわけあるか! 我が軍は無敵だ。それに、イギリスの助けもある。これで勝たなくては、笑いものにされてしまう。勝てるかじゃない。勝つんだ。何がなんでも」



 勝海舟の言葉には、迫力と確信があった。部下は納得していない表情だったが、そんなことはどうでもいい。勝海舟は、勝てば全てが証明されると信じて疑わなかった。


**


 戦いは数日で終わり、結果は大日本帝国の勝利だった。イギリス海軍の連携は完璧で、オランダ軍はあっという間に敗北した。勝海舟は、戦争の早期終結に満足していたが、心の中では物足りなさを感じていた。



「これで、オランダはアジアから締め出されたことになる。条約だの賠償金だのは伊藤博文に任せればいい」と勝海舟はつぶやいた。彼の興味は次の海戦に向いていた。もっと強い相手と戦いたいという欲求が、彼を駆り立てていた。



「次は、どこだろうな……」勝海舟は、次なる戦いを心の中で描きながら、船の甲板に立っていた。戦争だけが生きがいであり、彼にとってはそれが全てだった。

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