むかしむかし、
マーペーはカニムイという青年の恋人で、2人はとても仲良しでした。
そのころ、琉球王国には「道切りの法」という、国王の命令のもとに人々を
黒島の人々にもその命令を伝える役人がきました。
「
役人は村人たちに言いました。
人々はとても
残されるカニムイは、役人に
「お役人さま、そちら側にいるマーペーという娘は私の恋人で、いっしょに
「王の命令だ。あきらめろ」
けれど役人は聞き入れず、マーペーは石垣島に連れていかれました。
カニムイはそれならば自分も行かせてくれと願ったのですが、それも聞き入れてはもらえませんでした。
石垣島へ連れて行かれたマーペーたちは、
仕事はとてもつらく、くるしいものだったそうです。
ある夏、村をマラリアというおそろしい病気がおそいました。
マーペーもマラリアにかかり、くるしみながら愛するカニムイのことを思いました。
「カニムイに会いたい、せめて姿を見たい」
マーペーはそう思い、病でフラフラの身体で山に登り、黒島の
けれどその山よりも高い山があって、黒島を見ることはできなかったのです。
カニムイの姿も、ふるさとの島も、見えません。
マーペーは悲しみ、そのまま
彼女が登った山は、のちに「野底マーペー」と名付けられました。
野底マーペーは石垣島で2番目に高い山で、黒島との間には