むかしむかし、とある村の
「お前は人の弱みを
役人はそう言いました。
巫女はそんなことはしていません。
どうしてそんなことを言われるのか、分かりませんでした。
「お前は大悪人だ」
巫女が
役人は巫女を
だれがなんのためにそんなウソを言ったのか、巫女には分かりません。
「どうして? わたしは人から大金を
牢の中で、巫女は泣いていました。
そんな巫女を見張っていた若い
「たすけてあげられなくてすまない。私に出来ることは、あなたと話すことだけだ」
牢番は、巫女の話し相手になってくれました。
巫女の心の支えは、この若い牢番だけでした。
牢の中で一年も
立つことさえできなくなってしまい、もう長くは生きられないことを
「私はまもなく死ぬ。その前にあなたに話しておこう」
巫女は若い牢番にこう言いました。
牢番は巫女がもう長くないことに気付き、だまって話を聞いています。
「私は死んだらガラサー(カラス)になり、私をこんな目に合わせた人間たちに災いをもたらすだろう。けれどあなたは親切にしてくれたから、災いから
巫女は自分の話を聞いてくれる牢番に、これからのことを話しました。
ガラサーになるという巫女が教えた災いを逃れる方法は、このようなものでした。
「夜にガラサーが鳴いたら、そのあとに災いがおこる。あなたはガラサーの声を聞いたら、家の外に出てウスをたたきなさい。そうしたら、災いはあなたの家を避けていくから」
その後巫女は死に、
大火事が起きて、巫女を無実の罪におとし入れた人たちや、話を聞こうともしない役人たちの家が、みんな
けれど若い牢番の家だけは、ウスをたたいて知らせたので、