「さてと、灯生よ。この後は暇か?」
「暇ですが・・・?」
なにか嫌な予感が。
「それならこの後、我と勝負しろ!勝負というか、肩慣らしだな。」
そうきたかぁ・・・まぁいいけど。魔王と勝負だなんて滅多にないことだろうし。
「まぁいいですよ。俺じゃ相手にならないかもですが・・・。」
「何を言うか!?お主の魔力量は我よりも多いと言うのに。いささか自分を買い被りすぎではないか?」
「そんなことはないですよ。魔王さんより俺の方が魔力が多いだななんてそんなこと。」
「いや、それは本当ですぞ、灯生殿。それはテイムされている私が保証します。」
「あぁそういえば、アルファスと出会った時も魔力を補充するとかで陰に入ってたっけ?」
「そうなのです。私があれだけの膨大の魔力を吸ったのに今だ溢れ出る魔力。なかなかですぞ。」
「まぁ実感はないけど、俺も最近体動かせてないし、ちょうどいいかも知れませんね。」
「よし!決まりだな!場所はどうするか・・・。我の魔法で何とかするか。」
ということで、魔王さんの肩慣らしに付き合わされることに。どれほど強いのだろう。
ー朝食を終えて少しして。
「流石にこの地上で戦うにはちと狭い。亜空間で戦うぞ。亜空間魔法 ニオンゲート。」
「おぉ、こんな魔法が。」
「お主でも見たことがないのか。まぁ入ってくれ、この中だったらいくらでもはしゃいでもよいぞ。」
ゲートに入るとそこは他に存在が確認できないほど静まり返っていて、何もない空間だ。
「では、始めるぞ。遠慮は要らん。」
魔王がゆっくりと手を掲げると、周囲の空間が歪み、空気が一変した。空は深紫、地は黒曜石のような光を反射し、魔王の異質な魔力が漂う。
「これは・・・確かに暴れても問題なさそうですね。」
念のため結界魔法で防御を固めておこう。結界魔法 空間16/16、8/8、4/4、2/2。
「では、いくぞ!」
魔王が地を蹴った瞬間、黒い残像と共にその姿が消える。
速い!俺が反射的に後ろへ跳ぶと、そこへ巨大な黒雷が落ちた。
「えっ!いきなり本気ですか!」
「肩慣らしとは言ったが、手を抜くとは言っておらん!『
無数の雷が囲い、逃げ道を塞いでくる。
「じゃあ、俺も少しだけ本気出しますか。地変魔法 サンドヘル!!」
地面に砂地獄が現れ、雷を飲み込む。
「ほぅ、最上級魔法か。やはり只者ではないな。」
「じゃあ次は・・・これでどうです?凍雹魔法 ドライヘイルフィールド!!」
空間が一瞬にして氷に包まれた。
冷気が魔王を襲い、その身を封じ込めようとする。だが次の瞬間!?
「甘いわっ!!」
魔王が全身から漆黒の炎を噴き出す。氷は一瞬で蒸発し、空間が赤く染まった。
「『
黒炎の柱が俺を飲み込み、爆煙の中、沈黙が訪れる。
「まだこれくらいじゃ倒れませんよ。」
結界魔法をかけといてよかったぁ。死んでたわぁ。
「やはりな。その魔力、量も質も違う。これは遠慮しておれんな。」
魔王が漆黒の大剣をその右腕に形作っていく。
「終いには本気を出してしまいそうだぞ、灯生よ!」
「それはそれで、面白そうじゃないですか。」
二人の魔力がぶつかり合い、亜空間が
戦いは、これからだ。