空間が鳴いた。二人の魔力のぶつかり合いに亜空間が耐えきれず、空に裂け目が走る。
「ふん。ここまで亜空間が
魔王が漆黒の大剣を構え直す。その一振りが、空間を断ち割るほどの重さを持っている。
俺もあれを出すしかないか。
「じゃあ、俺も剣を出しますね。魔剣『天景』!!」
「ほう。見たことがない武器だな。」
魔王の目が細まる。警戒ではない。高揚している。
「面白い。ならば我も!!」
魔王の大剣が天に掲げられ、闇の
「魔核解放 第七段階。」
ズンッ、と重圧が亜空間全体を押し潰す。空気が黒く染まり、まるで夜が降りてきたかのようだ。
「さて、ここからが本当の戦いだ。退くなら今のうちだぞ?」
「そんな顔して言われても、もうやるしかないですよね。」
俺はこの戦いに興奮している?いや、楽しんでいる!!俺はその青く
「来い、灯生!」
「行きます、魔王さん!」
轟音とともに激突する剣と剣。2人の魔力が火花を散らす。と、次の瞬間!
「『
斬撃がまるで静かな荒波の如く魔王に襲いかかる。
「なに!?なんだその力はっ!!」
魔王が圧倒され、一歩、二歩と下がる、が。
「だがっ!我が負けるかぁああっ!」
「はい!そこまで!」
と目の前に現れたのはアルファスだった。
「これ以上されますと亜空間が壊れます。お2人とも規格外です。」
しばし沈黙の後。
「さすがですね、魔王さん。」
「ふん。我も、久しぶりに心躍ったぞ、灯生よ。」
魔王が笑みを浮かべ、剣を霧のように消した。
「勝敗は・・・そうだな、引き分けということでどうだ?」
「異論はないです!」
互いに息を整えながら、拳を軽く合わせる。なんだか青春って感じだな。
そして、空が元の色に戻っていく。亜空間は役目を終え、静かに消えていった。
ー戦いの後。
亜空間から戻った二人を、ルーナたちが出迎えてくれた。
「お二人とも、無事で何よりです。」
アルファスが呆れ気味に、だが安堵した様子で言う。まぁそりゃそうか、派手にやりすぎたか。
俺も魔王さんも苦笑していた。
「次やるときは、もうちょっと穏やかにお願いしますよ、魔王さん。」
「次は本気の殺し合いでもいいぞ?」
「それは・・・遠慮しときます。」
こうして、俺と魔王さんの初対決は幕を閉じた。
しかし、この戦いをきっかけに、灯生の『未知なる力』は覚醒しつつあった。