「おっはよー!平岡っち!」
「おはよ!入野さん!今日は早いね。なんかあったの?」
「平岡っち、ごめん!今日のお昼なんだけどさ、朝お母さんが弁当作ってくれて、いいって言ったんだけど、張り切って作っちゃってさ~。」
「あぁ、そんなことか、大丈夫だよ!」
「それじゃ、もう1個の弁当どうしよっか。」
「あ、宝条君、弁当いる?」
宝条君に振り向く瞬間、一瞬だけど、入野さんの顔が少し悲しそうに見えたような。
「え!?いいのかー??やったぜー!!」
「宝条!平岡っちが作ってくれたんだから、ちゃんと拝んでから食べろよー!」
「へぇー!この弁当、よっしーが作ったんだ!!ありがたや~。」
「そんなたいしたものじゃないよ、普通のお弁当。」
「大切に食べさせていただきます~。」
「じゃー、一緒にお昼食べよーぜー!」
「あ、うん。入野さん、いい?」
「まぁ、いいよ。」
あれ、なんか怒っているような。
「宝条。弁当の代わりに昼にジュース奢れよー。」
「えー。なんでだよ~。」
授業も終わり、昼休憩へ。
僕たち三人は屋上で食べることにした。
「たまには屋上でお昼ご飯もいいね!」
「そうだね~。晴れててあったかいし寝れそう~。」
「平岡っち!おかず交換しよー!!」
「あぁ!そうだね!入野さんちのお弁当初めて食べるね!」
「じゃ、卵焼き交換しよ!」
「オケー!ほい!どうぞ!」
「うん!おいしい!入野さんちは甘くないやつだね!これもまたおいしいね。」
「なー、いっつも昼飯一緒に食べてんのかー?」
「そうだよ!いつもはベンチで・・・。」
あ。言ってしまった・・・。
別に秘密にしていたわけじゃないけど、なんか少し心がざわつく。
「そんじゃー、これから俺も一緒に食べよーっと!」
「あーうん。いい?入野さん?」
「まぁーいいけどー。」
なんかやっぱり怒ってる。
宝条のことがそんなに嫌いなのか!?
「代わりにジュース買って来いよー。」
「えー、なんでだよ~。」
お昼ご飯が2人から3人へ。
嬉しい気持ちとは別に。
入野さんとの2人の時間がなくなったことに、少し、寂しい気持ちも抱えながら、時間は過ぎてゆく。
入野さんも同じ気持ちだったらいいのにな。
なんて考えてる自分を抑えないと、と必死だった。