「よっしー!入野!今日勉強会な!」
「え、また急だね。まぁいいけど。」
「急すぎるし!まぁあたしも予定ないしいいけどー。」
「よーし!決まりだな!場所は・・・よっしーの家でな!いいか?」
「あぁいいよ。」
「平岡っちの家!?」
「顔まっ赤にしてどうしたんだ~?」
「い、いや!別に!」
「あれ、持って来なかったら家に入れさせないからな。」
「分かってるって!饅頭だろ!」
「入野さん!2人で勉強会しよっか!」
「じょ、冗談だよ~!久万谷堂の大福だろー!覚えてるさ~。」
「入野さんはいいからね!」
「あたしも持ってくよ~ん!」
「そう?ありがと!」
ー放課後。平岡宅。
「おじゃましまーす!」「おっじゃまっしまーすっ!!」
「あ、いらっしゃーい!宝条君、大福は?」
「貢物でござまする~!」
「よし、入りたまへ。」
「あたしもー!」
「うん!ありがと!どうぞ!」
「俺と全然態度違う~。」
「そこらへんに座ってて。お茶出すから待っててね。」
「ここがよっしーの家かぁ。というか一人暮らしなんだな!」
「本がいっぱいだねぇ〜!平岡っちの家って感じ!」
「なんだそれ!」
入野さんが僕の家にいる!
来る前から心臓バクバクだったのに、さらに鼓動が速く・・・。
は、張り裂けそうだ!!
僕は2人に勉強を教えながら、久万谷堂の大福を食べるという至福のひと時を過ごした。
こんな僕が、家に友達を呼んで勉強を教えるなんて、そんな日が来るとは。
「ちょっとトイレ借りるなー!」
「どうぞー。」
あれ、2人になってしまった。
久々の2人の時間。
「平岡っち、久々に2人きりだね。」
「そ!そうだね・・・。」
「平岡っち!!」
入野さんの手が僕の手の甲に重なった。
「うわぁ!ご、ごめん・・・。」
「うん、大丈夫・・・。」
「また、家、来てもいい?」
「いいけど、それってどういう・・・。」
「ふう!すっきりしたぁ~!」
「ん?どうした?」
「いや!なんでも!」
「早く勉強の続き!」
「2人とも、今の状況だと普通に赤点だからね、これから毎日教えるから。」
「明日からは放課後に図書室ね。」
「そんな~!」
また家に来てもいい?ってどういう意味?
また勉強会するってこと??
それとも・・・。
ぼ、僕は何を考えているんだっ!
2人が帰った後の家のにおいが入野さんの残り香で満たされていて、
朝まで心臓のドキドキが収まらなかった。