あれから将来について考えるようになった。
特にやりたいことはないし、大学に進学か、働くか。
あの両親に話すのは苦手だ。
目的もないのに大学に入るのかと言われそうだ。
小説かぁ。書いてみようかな。
書くだけなら別にいいじゃないか。
そういえば、文芸部に入ればいろいろと勉強になるかな。
人から教わろうとするのは少し気が引ける、ましてや小説なんて。
甘い考えかもしれない。だけど、やれるだけやってみる価値はある。
部活、見学だけでも行ってみようかな。
ー放課後。
たしか部室は図書準備室でやってるって聞いたような。
コンコンッ。
「失礼しまーす。」
「あれ、誰もいないのかな。」
「どうした?ここは文芸部の部室なんだが。」
振り返ると見たことのある顔が。
あの地雷系の先輩だ。
「あ、あの、すみません。見学しに来ました。」
「ほほー。文芸部に?」
「これまた珍しい。」
「君はたしか・・・図書委員の寝てた子か。まぁ入りたまえ。」
「あぁ、その節はすみませんでした・・・。」
「失礼します。」
「それで?なんで文芸部なんかに?」
「えぇーっと、小説を書いてみようかなと思って。何か役に立つかなと。」
「ふむ。なるほど。それで見学に来たというわけか。」
「あの!文芸部は先輩だけですか?」
「ほほー。私が先輩だと知ってたのか。」
「いや、他にも2人くらいはいるが今日は休みだ。」
「そうなんですね。普段はどんなことをしてるんですか?」
「そうだね・・・。人それぞれだけど、読書や小説を書く子もいるし、文芸コンクールに参加したり・・・。あとは、ビブリオバトルなんかもするかな。」
「ビブリオバトルって何ですか?」
「ビブリオバトルっていうのは、発表者がおすすめの本を紹介し合い、一番読みたくなった本を決める、というものだ。」
「そんなものがあるんですね。知りませんでした。」
「まぁたまにしかやらないけどね。活動はそんな感じかな。」
「なるほどです。ありがとうございます。」
「あの、先輩に質問なんですけど。」
「なにかねー。」
「安藤作品、かなり読まれていますよね?」
「んー。まぁそこそこにかな。」
「新刊は読まれましたか??」
「あぁ、もちろんだとも。何せミステリーの帝王の3年ぶりの新刊だからね。」
「ぼ、僕も好きなんです!!何が一番好きなんですか?」
「私かー。そうだな・・・。やはり猿川探偵シリーズかな。君もそうなんだろう?」
「はい!大好きです!!あれは名作です!」
「先輩は、その、小説は書かれるんですか?」
「書くよー。まぁ嗜む程度にはね。」
「よかったら教えていただけないでしょうか!?」
「小説の書き方を?私が?部活に入れば教えてあげてもいいかな。」
「ほんとですか!?それじゃ入ります!!」
「おぉマジで入るのか!それじゃまた明日来たまえ。2人にも紹介するよ。」
「あ、ありがとうございます!!」
「そういえば、君の名前は?」
「僕は2年の平岡 周祥です!」
「私は3年の
「よろしくお願いします!!」
勢いで話してしまって部活にも入ることになったけど、小説が書けるのか。
やるだけやってみよう。