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23 球技大会②


「ん。ここは・・・。」


目が覚めた。記憶が混濁している。

あぁそうか、ボールにぶつかって、倒れて、それから・・・。


「平岡っち!大丈夫!?」


「よっしー!目が覚めたみたいだ。保健室の先生呼んでくる!」


「あれ、僕は・・・ここは。」


「平岡っち!平岡っち!」


あぁ保健室に運ばれたのか。あぁなんて情けない。

ボールが当たったくらいで気絶して倒れるなんて。


「先生、こっちです!」


「平岡君!記憶はある?ボールが頭に当たったんだけど、痛くない?」


「あぁ、はい、大丈夫です。す、すみません。」


「うん、よかった。念のため、明日にでも病院に行ってね。何かあったら大変だから。」


「はい。ありがとうございます。」

「入野さん、宝条君、ありがとう。もう大丈夫だから・・・。」


「よ、よかったぁ。ほんとに頭痛いとこない??」


「ちょっと痛いけど、たんこぶできたくらい、かな・・・。」


「びっくりしたぜ!頭ボールに打たれて倒れたんだぜ!肝が冷えたよ。」


「うん、覚えてるよ。大丈夫だから、2人ともありがと。」


入野さんも、宝条君も心配そうな顔から少し安堵したようだ。


手があったかいな。あれ?

手握られてる?これは入野さんの手!?

えーーーー!?どういうこと!?

なんで手を握ってるの!?心配させてしまったか・・・。

入野さんの手の暖かさがとても安らぐ。


「入野さん、ありがと。手握っててくれたんだね。」


「あっ、ごめん、手握っちゃってた。ほんとに心配したんだからね!!」

「それにあの時あたしのこと見ててボールに打たれたんでしょ、ちょっとは責任感じるよ。」


「いや、あれは僕も悪かったんだよ。入野さんが見ててくれたから、嬉しくてつい・・・。」


「あの、俺もいるんだけど、イチャつくのは2人の時にしてくんない?」


「宝条!イチャついてなんかないしー!頭勝ち割るよ!」


「えー、怖すぎ~。」


「それじゃあたしバレーあるからもう行くね!平岡っち、もう少し休んでなよ!」


僕ももう大丈夫だから、と言おうとしたけど少し顔を赤らめて走って行ってしまった。


「よっしー、もうちょっと休んどくか?」


「いや、大丈夫だよ。入野さんのバレー見に行こ!」


「分かった!何かあったら俺に言えよ!」


「うん!ありがと!!」


僕と宝条君は女子がバレーをしている運動場へ向かった。

それにしても外は暑い。


あ!?入野さんだ!あぁきれいだ・・・。

ずっと入野さんから目が離せない。

いつもの入野さんとは違う、真剣な入野さん。

バレーしている入野さん。さっきまで手を握ってくれた入野さん。


今まで嫌いだった球技大会。

この光景を見れただけでもよかった気がする。


結果は3組女子の勝ちだった。

そしてどんどん勝ち進み、決勝も勝ってしまったのだ。

すごい!!入野さん!!じゃなくてみんな!


「入野さん!おめでとう!」


「うん!ありがと!がんばれたのは平岡っちがずっと見てくれてたからだよ。」


ひぇ!?そんな耳元で言われても・・・。


「そういえば男子バスケはどうだったの?」


「あー、あれは1組の勝ちだったよ。別によっしーのせいじゃないからな!!」


「うん!まぁバスケも楽しかったよ!ありがと!宝条君!!」


「おうよ!またやろーぜ!バスケ!」


「それは遠慮しとくよ。」


「えー。」


いろいろあったけど今年の球技大会は終わった。

運動はやはり苦手だ。苦手だけど・・・今日はとても楽しかった!

ランキングからは外しておこうかな!


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