「あ~、暑い、窓際だから特に暑い、あ~、ほんと暑い、暑い。」
「うるさいよもう宝条君。余計に暑くなるじゃん。」
「だって暑いんだもん。しょうがないじゃん。暑いもんは暑いんだから。」
「寒いって思えばー。」
「あー寒い寒い。寒いわー。寒い寒い。」
「ちょっとさっきからうるさい宝条!ぶっ飛ばすぞ!」
「怖いよよっしー!入野がぶっ飛ばすとか言ってくるぅ~!」
「入野さんよろしく。」
「任せときな!!」
「腕まくらなくていいから〜!よっしーもなんでだよ~!」
「どう?寒いって言ったら寒くなったでしょ?」
「うん!寒くなったよー!とか言うか!暑いわ普通に!!」
「あーうるさいから余計に暑い。」
「だって7月になったとたんこの暑さだぜ!!溶けちゃうよ~。」
「溶けたらきれいに拭いてあげるからどうぞー。」
「入野~、よっしーが冷たい~!」
「もうあんたうざすぎ、少し黙って。」
「うー。でもちょっと日差しが気持ちいかも~。寝れそー。」
「うん、おやすみ~。」
この後宝条は、授業中ずっと寝ていたところを先生に叩き起こされ叱られていた。
まぁそうなるよな。それにしても暑いなぁ。初夏なのか7月になったとたんにこの暑さは堪える。
ーお昼休みの屋上で。
「こんないい天気に屋上で食べる飯はうまいな!」
宝条がなにより暑いということは言うまい。
「日陰は風が気持ちいいね。はい、入野さんの弁当。」
「平岡っちありがとー!!」
3人でこうやって食べる時間にも少しずつ慣れてきた。
「もうすぐで夏休みかぁ。」
「お!よっしー、何か予定あるのー?」
「いやないけど。強いて言うなら塾ぐらいかな。」
「平岡っち部活とかないの?文芸部だっけ?」
「あー、どうだろ、今度聞いてみようかな。」
「毎日行ってるんじゃないの?部活。」
「塾とかあるから調整して行ってる感じだよ。小説も勉強したいからね。」
「よっしーは小説家になりたいの?」
「んー、まだわからないかな。とりあえずやってみたいっていう感じだよ。他にやりたいこともないし。」
「そーなのかー。まぁでもやってみることはいいんじゃねぇか!」
「あたしもそう思うよ。やりたいことってすぐ見つかるものでもないしね。」
「うん。2人ともありがと!」
「そういえば、こんな日にぴったりの一説があるよ。」
「いつもの小説家の人?」
「うん、そう。安藤先生の「ペール・ギュントへのララバイ」っていう小説の一説。」
ー『天上に、太陽が留まるその瞬きの狭間に、月もまた、その栄光を略奪するのだ。』
「なんかわからんけど、深い言葉だな!」
「まぁ、主人公が友人に裏切られて、友人の妻殺しの犯人にさせられて牢獄に囚われたけど脱獄して、その友人を殺しに行くんだけど、主人公の妻と友人が一緒になっているのを見て自殺する時の一説だよ。サスペンス・ミステリー作品だけどね。」
「すごいエグい物語だね・・・。」
「でもすごい引き込まれる小説だよ。この一説好きなんだよな~。」
「平岡っちの小説語る時の顔、いいね!!」
「そ、そうかな・・・。」
今年の夏休みは小説を書いてみよう。
時間は有限だ。出来るだけやってみよう。