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第6話 ゾンビパニック 後編 その2

2時間前


「よし、これから、ゾンビ退治の作戦を発表するで。」

炎は、腕を組みながら、古びたホワイトボードの前に立っていた。

「影、メモなど諸々頼むで。」

振り向いて、影に話しかける。 

「痛たた。ち、ちょっと待って。腰やった。」

どうやら、ホワイトボードを運び出す時に腰を痛めたらしい。

「よし、始めるで。」

何もなかったかのように、炎は話し続ける。

「コイツ…覚えてろよ。」

影は、ゴミを見るかの様な目で、炎を睨む。

「「あははは…」」

この2人のやり取りを見て、佳とベルは、乾いた笑いを出すことしかできなかった。

「まずは、ゾンビのあまりにも多い数が問題や。さすがに俺と言えども、所詮はただ一人の人間や。囲まれたら、終わる。でも、さっき戦ってわかった事がある。こいつら自体は、個体としては、弱い。」

すかさず、太郎が質問を入れる。

「じゃあ、どうするんだい。」

炎が、ニヤリと笑い、人差し指を立てる。

「ズバリ、纏めて倒せば良いんや。」

佳は、この時、炎が竜を一撃で倒した光景を思い出していた。


そうか、面倒なら、一発で倒せば良いんだ。       

…脳筋すぎないか?

ベルが手を挙げる。

「でも、囲まれたらヤバいんだろ?」

炎は指を振る。

「甘いなぁ、誰が反撃させると言ったかな。」


2時間後


「よーし、3人とも準備終わったんだね。」

炎は、屈伸したり、背伸びしながら、ベルに確認する。

『あぁ、でも、あくまで準備だ。これは、おまえが勝てないと成り立たないからな。』

少し心配そうな声が聞こえる。

「大丈夫だって、ちゃんとやるって。」

そう言って、通信を切る。

「さて、仕事しますか。」

足に力を込め、炎を纏って空に飛び立つ。

そうすると、徐々にゾンビが燃える家から離れるように、炎が居た所に集まって来る。

「オット、敵のお出ましかぁ。動くんじゃねえぞ。」

おちゃらけた態度から一変、真面目な声でつぶやく。

「爆炎 充填チャージ

両手の掌の間に、紅い光が集まって来る。

「安らかに眠ってくれ  発射ファイア

光の球が地面の方に落下していき、爆発する。


「第1関門突破 やろなあ。」

安心した顔をして、地面に降り立ち、座り込む。


「やっぱり、あいつやべぇな…」

高台から、炎の事を見ていたベルはうっすらと

笑い、全員に通信する。

「炎がゾンビ軍団を撃破。一旦戻って来い。」



「「あ、」」

「お疲れ、いやぁ、疲れたねぇ。」

戻ってきた太郎は、先に高台についていた佳と三太に向かって手を振る。

「「いや、その目はどうしたんだよ(ですか)。

真っ赤じゃねえか(ないですか)。」」

太郎は、さっき昔の事を思い出し、泣いていたのだと気付く。

「いや、大丈夫だよ。ほんとに。」

服の袖で目をこすり、街の方を向く。

「それに、ここからだしね。」

その顔は、笑っているようにも、泣いている様にも見えた。











「あ~あ、やられちゃったか。」

爆発を見ながら、建物の屋根の上のフードを被った人物は、足をぶらぶらさせている。

「じゃあ、これならどうかな?」

手を目の前に掲げる。

誤字訂正コウセイ

目の前に、ぐちゃぐちゃな文字列が現れ、新たな文字が打ち込まれる。

「出でよ、ゾンビ·ハイエンド」

空間が一瞬歪み、もはや人間だった原形すらもない、ゾンビであろう物が出現する。













「この野郎、この私に重い荷物を持たせた上に、延々と逃げたゾンビを狩らせるとは…覚悟は出来てるんだろうね。」

影は、戻って来るやいなや、炎の頭をグリグリとする。

「痛い痛い、死んでしまうがな。」

炎は、頭を押さえながら悶える。

「うるせぇ、知るか。」

「ちょっとは気にかけろよ。」

2人は、急に口喧嘩を始める。

「ちょっと待って、あれ何。」

街を眺めていた太郎が叫ぶ。

そこには、よく分からない化け物がいた。

2人は目を合わせる。



「行くぞ。」



「もちろん。」

炎は炎を纏い、影は、大きな鳥に乗り、現場に急ぐ。



mission

得体の知れない化け物を討伐せよ。

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