ベッドサイドのランタン型のLEDライトから、本物の火のような柔らかな灯りが零れる。
ぼんやりとした灯に照らされた理玖の顔が艶と色欲に塗れて、凡そいつもの表情ではない。
「ぁ……、理玖さん……」
名を呼びながら耳に口付け吐息を吹き込む。
理玖の体がピクりと震えて、閉じていた目が薄く開いた。
「ん……、ぁっ……ぁ、ん」
腰を緩く動かせば、濡れた唇から嬌声が零れ落ちる。
少し奥を強く突いたら、理玖がまた射精した。腹の上は、もう何度目かも知れない射精で、精液の溜りが出来ていた。
狭いベッドの上と足元には、使用済みのコンドームを何個も放り投げていた。
買ったばかりのコンドームは、もうほとんど残っていない。
「ゴムなくなったら、中に出すよ。俺の子孕んで、結婚しよ、理玖さん」
口付けて、言葉を口から流し込む。
自分の言葉に理玖が縛られてくれたらいいと思う。
握った手をすり抜けて消えてしまいそうな理玖を繋ぎとめる鎖が欲しかった。
「ぅ……、ん……」
理玖が重そうに腕を持ち上げて、晴翔の首に回した。
顔を持ち上げて、口付ける。
半分、寝ているような仕草が、可愛い。
理玖の部屋に帰って、風呂に入って、飯を食って、報告書の話をするつもりだったのに。
晴翔を部屋に招いて照れている理玖を見たら、我慢できなくなった。
『めちゃくちゃに……本気で、抱いて』
そんな言葉を言われたら、押し倒さないはずがない。
かろうじてベッドに滑り込んだのは、正解だった。
空が白み始めた、この時間まで床で抱いていたら、理玖の腰が壊れる。
「はぁ……ぁっ、理玖さん、理玖さん……」
何度も腰を打ち付ける。
肌が打ち合うたび、乾いていた音は汗と精液で湿り気を帯びる。
二人の愛が深まる証のようで、嬉しくなる。
理玖がまた、体を震わせた。
中がきつく締まって、晴翔の男根が強く絞られた。
「そんなに、締めたらっ。さっきより、きもちぃ、やば……ぁっ」
晴翔は、理玖の腹の奥に白濁を吐き出した。
理玖の後ろの口は濡れそぼって、まるで女性の膣のように晴翔の男根を咥え込んでくる。晴翔の精子を搾り取るように締めて絡まる。
(処理してなくても平気だし、やっぱりrulerの理玖さんも一般のonlyと同じで、otherとセックスする時、体が変化するんだ)
理玖が何度も体をビクつかせて、勃起した男根がビクンとしなった。
刺激に耐えながら、自分の男根をずるりと抜き出す。
「またメスイキしてたよ……。もう、出なくなっちゃった?」
腹の上から溢れて零れるほどに射精している。もう何回言ったかも数えていない程だから、空になってしまったかもしれない。
「空っぽでも、俺でイってくれるんだね、理玖さん」
何度も絶頂して、出すのとドライオーガズムを繰り返しているうちに、理玖が朦朧としてきた。すっかり抱き潰しているのに、止まれない。
「どんな理玖さんも可愛い。けど、そろそろ終わらないと、理玖さんが辛いね」
どんなに抱いても、足りない。全く収まらない。
この一年、耐えた想いが爆発しているようだった。
口付けて、理玖の隣に横になる。
綺麗な唇に指を滑らせた。
「綺麗な身体……、眼鏡してない理玖さん、美人だ。唇、エロい」
色白で華奢な腰に指を這わせる。
年齢の割に童顔な理玖は目を閉じていると余計に幼く見える。
キスし続けてすっかり濡れた唇に触れる。ふっくらした唇は、最近まで眺めることしかできなかった、欲しかった熱を晴翔に教える。
「俺しか知らない、俺だけの……」
やっと晴翔だけの理玖になってくれた。
理玖の左胸の痣に触れる。自分の胸に浮かび上がった痣と同じ花が咲いている。
(絶対に切れない絆が出来たのに、何で不安に思うんだろう)
幸せで堪らないのに、胸の奥にほんの少し、小さな穴が開いている感じだ。
ふわりと半分、理玖の目が開いた。
どきりとして、唇に触れていた指を離す。その手を理玖がやんわりと握った。
伸びた腕が首に絡まって、理玖の唇が迷いなく晴翔の唇を食んだ。
「愛してる……、はるとくん、もっと、しよ……」
半分寝ていそうな、寝ぼけた目が妖艶に笑む。
そんな顔を見たら、やっと収まった男根がまた硬くなった。
「理玖さんの腰が壊れたら、俺が抱いて職場まで連れて行ってあげるから」
期待で濡れそぼる理玖の後ろの口に、熱い男根を押し付けた。
ゴムを付けるのも忘れて、理玖の中に押し入った。
理玖のたった一言で、たった一度の笑顔で、晴翔の胸はこんなにも幸せに満ちる。
(幸せも不安も全部、理玖さんがくれる。だったら俺は、理玖さんを守るだけ、理玖さんを幸せにするだけだ)
愛する人の腹の中に欲に塗れた愛を撒き散らして、自分勝手な生涯の愛を誓った。