11.
そして、まさに同時刻のことである。
壮生蒔絵からの連絡を受けて、『委員会』は迅速に準備を進めて、『戦闘部』に所属している魔法使いたちは既に出発していた。その先陣を切った魔法使いたちが到着するまでにかかる時間はあと十二分。
それが現状の『委員会』だった。
あっという間とも言える時間だが、すぐそこに致命傷が差し迫っている現状にとっての『十二分』は決して短くない。
『発砲うさぎ狩り』との正面対決に備えている『委員会』十三支部が交わしている連絡の中でひとつ――いや、ひとり、こんな返答をした者がいた。
「――二見中学校の前に到着しました」
その人物は、自転車に
品のある白いシャツを着ていて、肩の辺りで揃っている髪。顔つきは年相応だが、整っていて美人という印象を受ける――そんな少女だった。
治安維持組織『委員会』十三支部副支部長は、この二見中学校を中心とした周辺地域に『発砲うさぎ狩り』が潜伏していると確信して、単独で見回りを強化していた。
だからこうして――誰よりも早く、二見中学校に到着できた。
「これから単独で突入します」
と通信して、ヘルメットを外す。
そのときだった。
ヘルメットを外し、剥き出しになった少女に頭に――真後ろから攻撃があった。
この学校にいる誰もが思井かるいの到着を知らない。
しかし、それでも――二見中学校の周りで待機していた『発砲うさぎ狩り』のメンバーのひとりは、その姿を見ていた。
「…………」
明らかに毛色の違う人物の到着を目視で確認し、そして――迷う様子もなく、攻撃を放ったのだった。