壁にへばりついていたインプの一匹が、甲高い声とともにルナへ飛びかかってきた。
「いやにゃっ!」
ルナは瞬時に腕を振るい、インプを叩き落とす。
床に叩きつけられたインプはピクリとも動かなくなったように見えた。
にゃん民: やっぱ楽勝じゃね?
にゃん民: こんなザコなら余裕っしょ
しかし、死んだと思われたインプが、再びぎこちなく立ち上がる。
目は赤く光り、ゾンビのような低い唸り声を上げている。
にゃん民: うわ、やべえって!
にゃん民: やっぱゾンビだ!
にゃん民: どうやって倒すんだ?
すると、他のインプたちもそれに呼応するように、壁や天井から一斉にルナへと飛びかかってきた。
「にゃんこ百裂掌っ!」
ルナは両手から衝撃波のような連打を放ち、数匹のインプを弾き飛ばす。
だが、地に伏したインプたちは、何秒かするとまたむっくり起き上がってくる。
「こ、こいつら、本当にゾンビ化してるんですにゃ……! 倒してもすぐ立ち上がってくるにゃ……」
さらに、背後から複数のインプが音もなく迫り、ルナの背中に衝撃を与えた。 不意を突かれたルナはよろめき、ランプの光も大きく揺れる。
「くっ、情報量が多すぎて、わたしの処理が追いつきませんにゃ……!」
にゃん民: ルナちゃん、危ないって!
にゃん民: ゾンビ相手に数の暴力はやべえ
焦りに満ちたコメントを見て、ルナはある決断を下す。
「Vスキル《ラジコン化》……発動!」
ルナの瞳から光が消え、無表情な“ラジコンモード”へ移行する。
コメント欄が激しく流れ始めた。
にゃん民: 任せろ、ここは俺らの指示通りに動いてもらう!
にゃん民: いくぞ、コマンド入力だ!
にゃん民: R・L同時押しでスライディング回避!
無表情のルナがコメントを“読み取り”、インプに連撃を加える。
隙をついて一体ずつ確実に倒し、いったん動きを止めることには成功するが、結局ゾンビのようにまた立ち上がってくるインプたち。
「……ダメですにゃ、倒しても倒してもキリがないにゃ……」
ラジコン化の制限時間が切れ、ルナはコマンド入力を受けつつ大量のインプ相手に奮闘したが、ついに息を切らしてへたり込んでしまう。
「はぁ……ごめんなさいにゃ……みんな……」
画面のこちら側で見守るにゃん民たちやなーべも、声が詰まるような焦燥感を覚える。
なーべ: ルナちゃん……大丈夫……?
なーべ: そうだ!ちょっと待っててね!