ドワーフたちの飢えを解決するため、ルナは洞窟の奥へと進んでいた。
どこまでも続く暗がりの中、足音が石壁に反響して、ひんやりとした空気が肌を刺す。
「みにゃさん、インプゾンビーズってどんな奴らなんでしょうかにゃ……」
ルナが小声で独りごちると、コメント欄にも心配の声が流れる。
にゃん民: マジで危険だって
にゃん民: でもルナちゃんならなんとか…!
にゃん民: そんな油断してるとやられるぞ
同時に“なーべ”がコメントを投じてくる。
なーべ: ルナちゃん、気をつけて! 私、戦闘スキルないから何もできないけど、こ応援するから…!
「ありがとうですにゃ、なーべちゃん。いてくれるだけで助かりますにゃ!」
ルナは懐に用意した小さなランプの明かりを頼りに、深い洞窟を進んでいく。 すると、道の先で何か小さな影がピョコッと飛び跳ねるのが見えた。
「……あれ、何ですにゃ?」
ルナが目を凝らすと、それは羽の生えた小悪魔のような姿――インプが一匹、キキッと甲高い声を上げ、こちらを一瞥するなり逃げていった。
にゃん民: ちっさ
にゃん民: 雑魚じゃんw
にゃん民: ヨユーっしょ
にゃん民: 普通のRPGだと序盤の敵だよなー
なーべ: そんなに弱いのかなあ…? なんか心配
ルナはインプを見送るように立ち止まりながら、小さく首をかしげる。
「実際、弱そうに見えるけど、ドワーフさんたちを追い詰めた奴らにゃ……油断はできませんにゃ。」
さらに洞窟を奥へ奥へと進むと、広場のように開けた場所に出た。
天井は高く、壁はごつごつした岩肌を晒している。だが、そこには不気味な赤い光がいくつも浮かんでいた。
「これは……!」
ルナがランプを掲げた瞬間、壁一面に赤い光が無数に散らばっているのがはっきり見える。
「全部、目……ですにゃ…!」
そう、暗闇のなかで光っていたのは、大量のインプたちの目だった。