マリシャスヘイターが爆散し、廃都ローウェンには静寂が戻った。
ばえすぽっ!の3人組は互いに「お疲れ!」と声を掛け合い、ルナは安堵の息をつきながら辺りを見回す。
「はぁ…これで、四天王も全滅ですねにゃ…」
コメント欄は「ナイス!」「やったー!」と盛り上がり、スペチャも続々と投げられている。
一方、シャムはやや離れたところで所在なさげに立ち尽くし、目を伏せている。
「シャムさん……」
ルナが声をかけると、シャムは一瞬言葉をのみ込み、そっけなく顔を背ける。
しかし、そのままかすれた声で呟いた。
「……あ、ありがとう……」
ほんの短い言葉だが、それだけでルナの胸は熱くなった。
にゃん民やシャ民党員もコメント欄で「シャムが礼を言った!?」とざわつく。
「に、2度と言わないんだからね!」
顔を真っ赤にしてシャムは叫んだ。
「満足そうだな、ルナちゃん!」
小盛めしが笑顔で声をかけ、美射流ぐびと狗田しゃけも「ナイスコラボ!」と称賛してくれる。
ルナは照れながらも微笑み返し、ユニコーンのたてがみを撫でた。
「でも……魔王の情報、結局得られなかったね。」
狗田しゃけがライフルを肩に担ぎながら口を開くと、にゃん民も「たしかに」「これからどうするんだ?」と騒ぎ出す。
そこにシャムの声が重なった。
「……それについては、私がわかるわ。」
周囲がざわめく中、シャムは視線を上げる。
その表情には、わずかながら覚悟の色が宿っていた。
「さっき、あの人形野郎――マリシャスヘイターに情報を吸われそうになった時、私も抵抗してたの。
そしたら逆に相手の頭の中に入り込む形になったみたいで……魔王だか何だか知らないけど、その主の情報が少し流れ込んできたのよ。」
にゃん民: さすがシャム、転んでもタダじゃ起きない
シャ民党員: やっぱりシャムちゃんは違うわ!
思わぬ賞賛に、シャムは目をそむけながらも話を続ける。
「魔王は……“最果ての孤島”にいるらしいわ。
それだけじゃない……魔王は、人間……よ。」
こうして、新たな幕開けの気配を感じながら、ルナたちは廃都をあとにする。
物語の行方は、まだ誰も知らない。