インフルエンス教国の中心にある大聖堂付近には、続々とVTuberたちが集結していた。
猫神ルナやばえすぽっ!の3人、鞠茉莉まるや木阿弥もとのといった救出されたVTuber、そしてシャムまでもが居並び、天照ニニギを中心に作戦会議を進めている。
「最果ての孤島……そこに魔王がいるんですにゃ。」
ルナはシャムから得た情報をもとに、地図の上を指差す。
その周辺は大きな海に囲まれており、断崖絶壁の岩盤がまるで要塞のように島を取り囲んでいる。
「海路は使えそうにないわね。岩盤を迂回して上陸する手段がない。」
シャムも厳しい表情を浮かべ、腕を組みながら地図を見つめる。
「そこで空から進入するしかないわけか……」
天照ニニギが静かに頷くと、VTuberたちからも同意の声が上がる。
しかし、空を飛べるVTuberは限られており、それも多人数で乗り込めるほどの手段は存在していなかった。
「なら、私に任せてくださいなー!」
ぽん、と気軽に声をあげたのは、「プラバンまみれ」と名乗るVTuberだった。
名前の通り、全身にプラ板(プラモデルの改造素材)がくっついたデザインで、体のあちこちに色とりどりのプラ板が貼られている。
「プラバンまみれさん、あなたは何を――」
ルナが問いかけると、彼女は自慢げに胸を張る。
「工作系VTuberとして、“フルスクラッチ”が私の得意スキルなんですよ!
簡単に言えば、あらゆるものを材料から一気に作り上げる能力ってとこかな~。」
コメント欄にもにぎやかな声が流れる。
にゃん民: プラバンまみれだ!
にゃん民: こいつガチでなんでも作るから期待できるぞ
にゃん民: 飛行船とかマジで作れるのか?
「大抵のものの作り方は動画サイトにあるからね!」
プラバンまみれは満面の笑みを浮かべてVTubeスタジオのUIを開き、スキル欄を弄る。
「スキル《フルスクラッチ》、発動! 材料はこうして……こうして……はい、完成☆」
すると、信じられない速度でプラ板のパーツが組み上がっていき、あっという間に巨大な飛行船の骨格らしきものが現れ始めた。
にゃん民もVTuberたちも驚愕の声を上げる。
「う、嘘だろ……この大きさの船体を、一瞬で……!?」
「これに帆と推進装置をつければ、みんなで空を飛べるんですねにゃ!」
ルナが目を輝かせると、プラバンまみれはドヤ顔でウインクした。
「まっかせなさい! もうちょっと手直ししたら、大人数乗せられる飛行船が完成するわ。
これで最果ての孤島へ行きましょう!」
VTuberたちの個性を活かし、魔王を討つための作戦は進行するのだった。