——翌朝6時頃。
「……………………」
無言で布団から起き上がる。10時間程寝たので、なんだか体は軽い気がした。
「…………ッツ! 」
だけど、ほんの少し頭痛がする。……寝過ぎたのだろう。
私は布団を被らずに寝ていたが、寝ている間に布団をしっかりかぶっていたようだった。三重ガラスの窓を見ると相変わらず雪が降っている。見飽きている風景だけど、予定があるからか少し明るく見えた。
「時間は……6時か。早いな、もう少し寝るかな……」
再び布団に潜り込みはしたけど、十分に睡眠が足りているこの体は意識を失わせてはくれなそうだ。
----ガバッッ
「起きよう! 」
ベッドから立ち上がり、
「昨日よりかはマシそうだな、お、雪が止む時間もあるじゃん」
天気以外にも、何か目新しい情報はないかとWEBを開く、なんとなく開いたのでとりあえず時事ネタを閲覧していく、そして目にとまる記事を見つけ開いた。
「昨日愛知で凍災あったんだ……ウソ、この近くじゃん。被害者は30代女性と40代男性か」
その記事を見て少し不安になったけど、別に私がどうにか出来る話じゃないので気持ちを切り替えることにした。
「…………せっかくの早起きだしシャワーでも浴びとくか」
私は部屋から出たのち、まだ薄暗い廊下と階段を抜ける、風呂場を一旦通り過ぎ明かりのついているリビングに入った。
「あら、だいぶ早起きね」
「お母さんおはよー」
「おはよう」
「今日はそんなに寒くないみたいだよ」
「そうなの?なら私も出ようかしら、お父さんと行きたいところあったし」
お母さんは台所で朝食と、昼か夜に回すであろう魚料理の仕込みを作っていた。
「どこいくの?お父さんと行きたいところって」
「そんな特別なものじゃないわよ、私は小さな買い物がたくさんあって重くなりそうだからお父さんに手伝ってもらうだけ、お父さんも新しいパソコンが欲しいって言ってたからついでにって感じよ」
お母さんは朝食をテーブルに並べ、ラップを張っていく。
「どっか外食するってことだよね?それなら新しいお店でも探しといてよ。美味しかったら私もまた連れて行って」
「このあたりはほとんど行ったから、あとは値段のするところぐらいしか残ってないわ」
「いいじゃん、せっかくのデートなんだし」
「ふふ、そうね、たまにはいいかもね。……そういえば、霧音は夜ご飯はいるの? 」
「わかんないけど、多分いらない方向で考えといて。シャワー浴びてくる」
「はーい、わかった」
========
私はサッとシャワーを浴び終え、髪を乾かさずリビングに戻る。同時にドタドタと廊下の階段を降りてくる二つの足音が聞こえた。
「お母さーん、制服クリーニングに出せる?」
「わかったわ、ついでに出しておくわね」
「ママ、姉ちゃんおはよ! 」
「
「
お父さんはいつも寝起きはだるそうにしている。お昼には元気なんだけど、朝にはめっぽう弱い。逆に弟の
「ん、おはよー……霧音宿題やったかー? 」
「今回の休みは宿題ありません」
「オレはもうやったぞ、パパ」
「ん、報告4回目ありがとう
「へへへ……宿題は休みに持ち越さない主義〜〜! 」
「今は……もう7時10分なのね、休みの日にこの時間にみんな揃ってるなんて珍しいわね」
「今日……お前がどっか行きたいとか言ってたから……」
「アオくん覚えてくれてたのね、ただの買い物だけど」
「ママ、腹へった! 」
「私も〜、お母さんもう食べようよ」
「はいはい、じゃぁ二人とも自分のご飯をよそって」
『は〜い』
洋介と一緒に自分のご飯をよそう、洋介のお茶碗には私の2倍ほどの米が盛られていた。--私ももう少し食べようかな、いや、バーベキューもあるしこの辺にしとこう
「姉ちゃんのご飯すっくな……」
「ふふ、お姉ちゃんダイエット中なんだってー」
「デブってこと? 」
「誰がデブじゃコラ」
ご飯を盛り終えた私たちは自分の席に座った、テーブルには至ってシンプルに目玉焼き、ウインナー、海苔が並べられている。私と
「オレのほうが多い、へへへ」
「私は昨日食べた残りだからね、そういえば友達の家で何食べてきたの? 」
「お好み焼き」
お父さんとお母さんも席に着いた。これで全員揃った。
『いただきます!! 』
みんなのお箸がお皿に触れ、カチャカチャと
「パパ、姉ちゃんがデブなんだって」
「おいこら」
「お前ら朝から元気だな……羨ましいよ、お父さんにもその朝イチの元気さを分けてくれ」
「違うわよ、霧音は……ふふ……」
ガチャンと大きい音が食卓に響いた。その音はお父さんのところから発生したものだ。
「おい……き、霧音……まさか……おと、こか? 」
「だから違うって」
この勘違い両親に対して、
「パパは許さんぞぉぉーーーーーーーーーー!! 」
「キャッキャッ、姉ちゃんの“これ系”の話題は盛り上がりますなー」
「ちょ、ちょっとお父さん! 」
「今まで手塩かけて育ててきたんだ、誰だその男!今すぐ呼んでこい、結婚はまだ認めーーん!! 」
お父さんは闘志をメラメラと燃やし、私たちの中で一番激しく、一番元気で、うるさかった。
「お父さん違うから!お母さんもお父さんを勘違いさせること言わないでよね。今好きな人とかいないから大丈夫だって! 」
「そ、そうか。霧音がそういうならそうなんだろう。ゴホッ……ふぅ……お前たち全員落ちつけー……」
「お父さんがそれいう!? 」
「チェ、姉ちゃんに男できたかと思ってオレも期待しちゃった」
「もしも出来たとしてもあんたには絶対言うかっての」
そして、他愛もない雑談をし、朝食を食べ終え、みんなそれぞれの行動を始めた。--部屋に戻るか、まだ時間はあるし。
「ママ、今日は友達家にあげてもいい?みんな出かけるんでしょ」
「ええ、いいわよ。いつも通り人を迎え入れる時にはその人が水回りを掃除しておくのよ」
「
「わかってるって、こっぴどく怒られたのまだ覚えてるから。水回りの掃除ね、りょーかい!」
「じゃ、私は友達が迎えに来るまで部屋で待機しとくわ」
私はまだ湿っている髪を洗面台で乾かし、みーたんから貰ったトリートメントを髪に馴染ませたあと部屋に戻り、ほんの少しのお化粧をして、適当に選んでおいた服を着てベッドに寝転んだ。
「あ、一応あの鍵も持って行こう……ってあれ? 」
鍵を置いてあったはずの場所にその鍵はなかった。--また記憶違いで他のところに置いたのかな?
「まぁいいや……まだ8時かーー、みーたんが来るまで1時間30分……」