見たことのないものを見たい。
行ったことのない場所に行きたい。
物語を読む根源的な動機かと思います。そしてそれは、ホラーというジャンルと強く結びついている。
この物語の舞台は1945年8月。
日本という国がどん底にあるなかで、潜水特攻兵『伏龍』の生き残りである主人公は、海軍が研究していたとある秘密に接近していく。
使命感や義務感などは無く、ただ瀬戸内海の一部にぽっかりと口を開けた深淵に引き寄せられていく。まるで、超越的な何かの呼び声に誘われるかのように。
特攻、原爆、敗戦。
全てを失った青年を待ち受けるものとは何か。
見たくない、けれど否応なく引き寄せられる。それが恐怖の、そして物語の本質だから。
あなたも、群青の波の下にあるものを一緒に見に行きませんか?