目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第38話 定期健診と例のアレ

晩御飯を食べ終えた頃に、俺は橘さんから聞いた定期健診の話を詩織さんにすることにした。


「いけない! 忘れてたわ!」


と、本当に忘れていたようで手帳を確認しだした。


「守は二ヶ月も入院生活でずっと飛ばしてきたから、すぐにでも行かないと」


「そんな急に定期健診の予約とか取れるの?」


俺がそう聞くと、詩織さんは慌しく即座に電話を掛けだした。

うーん、そんな急ぐ必要があるのか?


「はい……はい………そうです。番号は………」


特に俺の方から出来る事もなく、詩織さんが色んなところに慌しく電話を掛けては話し続けている。


「お兄ちゃん、また定期健診に行くの……?」


いつも通りにリビングのソファに座っていると、ヒナタが俺の脇腹に抱きついてきて聞いてきた。


「そうだね、入院生活が長かったから、できてない部分とかあるだろうし」


実際はどんなことをするのか知らないけど。

ヒナタを撫でるといつもニコニコしてるのに、今日のヒナタの表情は暗かった。


「どうかしたのか?」


「お兄ちゃんが心配。定期健診が終わった後って、たまに数日は寝込む時もあるから……」


「大丈夫だって、今回はそんなことにならないから」


神埼少年も痛かったんだろうか……それとも女性が苦手って話だったし、単純に精神疲労とかかな?

どちらにしろ俺にはノーダメージだし、イケルイケル。


どれだけ電話したかは分からないけど、詩織さんがやっとスマホを置いてひと段落といった雰囲気でお茶を飲みだした。


「それでどうなったの?」


「このまえの橘先生の所で受けられるみたいだから、明日で予約を取ったわ」


明日とは急だな、てっきり来週とかになると思ったのに。


「あれ? 明日は月曜日だよね、学校は?」


「もちろん休むわよ、もう連絡もしてあるから」


さっきの電話でそれもしてたのか、というか学校を休む必要まであるのね。

あっ…………。

そういえば、俺今日限界まで出しちゃったぞ……これ大丈夫なんだっけ?


「お兄ちゃん? 本当に大丈夫?」


「ちょっと気になることができちゃったけど、でも寝込むことは無いから」


もう出しちゃったものはしょうがないよな。それで怒られたら素直にごめんなさいしよう。


そんなこんなで次の日。俺はまた入院していた病院に戻ってきた。

詩織さんが受付を済ませてから病院内を床に書かれている順路どおりに進んでいく、途中までは詩織さんと一緒だったけど、女性禁制エリアというのがあるらしくそこから先は俺一人で行くことになった。

家族でも一緒に入れないって、なかなか厳しいんだな。

そのまま順路どおりに進むと待機室のような空間に出てきた、一人掛けの椅子がいくつか並んでいる、たしかここで待つようにという話だったな。

座って待っていたけど、なにやら前と違って病院の中が騒がしいな、男の怒鳴り声?

何事だろうとそっちに気を取られていたら、橘さんが来てくれた。

相変わらずやや赤めのリップで、白衣と短めのタイトスカートが良く似合ってるな、最近は若い子ばかりを見てきてたから、大人の女性を見るとどこか落ち着くわ。


「ごめんね、うるさくて」


「橘さん、お疲れ様です。なんですかこの怒鳴り声」


今もなお遠くから怒鳴り声が聞こえてくる、でも何を言ってるのかはうまく聞き取れないな……。


「あんまり大きな声では言えないけど……ちょっと厄介な患者を抱えててね」


「はぁ……やっぱ病院も大変なんですね」


「この仕事をやってると色んな患者に会うからね。防音はしっかりしてるはずなのにここまで聞こえてくるなんて……っといけない、定期健診だったね」


「はい、お願いします」


「付いてきて、奥の方でまずは診断するから」


それから怒鳴り声が聞こえる方向とは逆の方へと通されて、採精室と書かれた部屋に入る。

中はそこまで広くない、デスクと椅子が二つ。あと色んな機材と大人が寝れるくらいの大きさの診察台がある。

橘さんがそのデスクに向かって座り、俺はそれに向かい合うようにもうひとつの椅子に座った。


「最近はどう? 体調が急変したとか、治癒した傷跡が痛むとか、そういうのはないかしら?」


「いえ、特に変わりは無いですよ。腹の傷も痛まないですし、傷がつっぱることもないです」


「なら良かったわ。今日は色々やらなくちゃいけないけど、頑張ってね」


「わかりました」


橘さんはデスクにおいてある紙に何かを書いている。

素人目線だと良く分からないな、カルテってやつか?

そんな事を考えていたらノック音が聞こえた。


「失礼します」


入ってきたのは菊池さんだ。

俺は笑顔で座ったまま軽く会釈をすると、菊池さんも笑顔になってお辞儀をしてくれた。


「今日の担当は菊池だから、それじゃ菊池、よろしく頼むよ」


「はい」


橘さんは菊池さんと入れ替わるように部屋から出て行った。

菊池さんはさっき橘さんが書いていたものを見てから、俺に挨拶してくれた。


「また会いましたね、神埼さん。今日はよろしくお願いしますね~」


「こちらこそ、お願いします」


それから特に変わったことは何もなかった。

血圧を測って、採血をして、聴力テストのようなものをした。

それから診察台に横になって上着を脱ぎ、吸盤のようなものを取り付けられて心電図をとられた。


「今日は採精さくせいもですよね? 前回から13ヶ月も経過してるんですね」


そんなやってなかったのか。

確か年に1回やるのが義務って話だったから、入院で伸びてたんだな。


「そうですね……よろしくおねがいします」


言ってて恥ずかしいな。

でも橘さんの話だと、自分でやらないって事だし、お願いするしかない。


「横になったままで大丈夫ですよ、もし痛かったら声を出しても良いですからね~」


そこは止めてくれるとかじゃないのね……。

俺は完全に身を任せて寝ていると、ズボンとパンツを脱がされた。

完全にすっぽんぽんの状態だけど、向こうもプロで変に意識はしてないようだ。

これなら大丈夫かなと思っていた矢先に、俺の足首に何かが巻かれた。

なんだ? ベルト?


「あの、なにを?」


「暴れると危ないですから、動けないようにしますね~」


なるほど、痛みで暴れると思われたのか。いや、暴れる人が多いんだろうな。

そのままでいると、足首と太ももと手首と胸と骨盤付近をベルトで完全に固定された。

なんか映画で凶悪犯とかが拘束されるときの奴に似てるな。

首だけ動かして菊池さんを追うと、なにやら液体で手を洗っていたようだ。


「それでは、はじめますね~」


菊池さんが優しく神埼少年に触って来る。手を洗っていたせいか、少しだけひんやりするな。


「あれ? こういうのって俺のを拭いたり、ゴム手袋を付けるとかしないんです?」


「私の手でしたら消毒済みですよ。ご希望ならしますけど、それもしましょうか?」


「あ、いえ。このままで」


菊池さんの細い指が絶妙な強さで動いている、やっぱ看護婦さんだし、こういうのにも慣れてるんだな。

ちょっとイタズラ心から抵抗してみようかとも思ったけど、あっという間に神埼少年は立ち上がった。

うん、今日も元気だな、君は。


「では挿れますね~」


何を?と俺が言う前に何かが神埼少年を飲み込んでいた。

これは見たことがあるぞ……。


「ここから少しずつ痛くなると思いますけど、我慢して下さいね~」


俺が始めて神埼少年の部屋の引き出しで見つけた、メスシリンダーのような何かか神埼少年を飲み込んでいた。

ちょっと柔らかかったのも、複雑な構造をしてたのも、こういうことか。

医療用オ○ホールだったんかい!ワレ!

中はワセリンでも塗ってあるのか、中に入れても引っかかって痛いなんてことはない。


「……うっ……」


「ごめんなさい、なるべく痛くないようにしますから~……」


菊池さんが優しい声で俺に話しかけてくれながらもピストン運動は止めない。

いや、痛くは無いんですけどね。

でも刺激が強すぎないか? これ。


ほどなくして、あっという間に出てしまった。


オ○ホールは透明なので、俺がどれだけ出したかというのが丸見えだ。

入れっぱなしの状態で菊池さんが出たものをまじまじと確認している。

どんな羞恥プレイだよ、これ……。


「あれ? 少ない……?」


ぎくりとした。

すいません、昨日出し切ってるんです。

でもそんなこと言える訳がない。


「そういう日もあるんですかね?」


すっとぼけてみたけど。


「もしかして~……最近出しました?」


あぁ、やっぱプロは誤魔化せないのか……。


この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?