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蝶舞山揺 弐 その3

 一課からの第一報で、楓はこの道で犯人が逃げると読んだのだ。


 「さすがね~」

 「お、おぅよ」


 なんかルネにめられて、ちょっと照れる楓。


 「あとは任せて♡」

 「え?」


 何故なぜだか急に、不安に襲われる楓。


 ――なんかルネの声、ハシャイでる??

 背筋に、悪寒おかんが、、、。


 「ルネ! 解ってる!? スグ撃ったらアカンで! 手順まなアカンで! あんたもう日本の警察関係者やで! もう賞金稼ぎバウンティハンターちゃうねんからな! 気軽に人間撃ったらアカンねんで!!」


 いや、バウンティハンターでも気軽に人を撃ってはダメだろうと思うのだが、ツッコむ人が誰も居ない。

 必死にルネを説得しようとする楓の叫び声は、すでにヘッドフォンごと道路に捨てられていた。

 ゴスロリ、仁王立ち。

 小鼻ピクピク。


 両腕を、腰の後ろへ。

 再び前に伸ばした手には、彼女の愛銃。

 右手にM8000。 

 左手にグロック26。

 前方の黒いバン、運転手はフィアットの前に立つゴスロリに気付いているハズだ。

 それでもスピードをゆるめず、突進して来る。

 ルネ、微笑。


 「そういうの、好き」


 モノトーンに包まれた雪のように白い肌、光るほどに漆黒しっこくの髪。

 その中で唯一色を持つ紅い唇が、エロくゆがむ。

 微動だにしないルネに、黒いバンがクラクションを鳴らした。


 「あら、ガマンできないの?」


 それが合図だったように、ルネの両手から弾丸が発射された。

 両方のハンドガンから出たそれぞれの一発目で、黒いバンの両の前輪はパンクさせられていた。

 反動で、バンのお尻が少し上がる。

 そんな事に関係なく、全弾撃ち尽くすまでルネの指は止まらない。

 照準をタイヤから上にズラしながら引鉄ひきがねを引きまくる!

 つんのめったバンのフロントガラスをくだき、天井も少し穴を開けた所でやっとグロックを左尻の上にあるホルスターへ。


 腕を戻す動作で左脇腹に五連並べられたベレッタのマガジンを素早く取り、交換。

 丁度、バンの後輪がバウンドしながらやっと地面に付いたところだった。

 前輪がパンクしても、黒いバンは強引に前進してくる。

 乗ってるのは、そんな強気のヤツら、、、?!





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