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蝶舞山揺 参 その2

 大阪空港駅から、モノレールで蛍池駅。

 そこから、阪急線で梅田駅。


 大阪の別名、梅田を冠する駅に、ちょっと目立つ人物が降り立った。

 彼女は伊丹空港でガイドに出迎えられてからここまで、ちょーハイテンション。


 太いボーダーのストッキングは、太腿ふとももでガーターベルトのボストンクリップにくわえられている。

 その上にある黒革のミニスカートは低い腰位置で、しかも片側スリットが異常に長い。

 そのくせ下着は絶妙に見えない困ったスタイルだ。


 さらに困るのはそのスカートと彼女のへその間に、しっかりガーターベルトが見えてやらしいのかやらしくないのかよく分からない事。

 三本線で有名なメーカーをパロったねずみのジャージを羽織り、その中はチビTなのかスポーツブラなのか判断付かない布を着けている。

 視線を上げると首輪をしていた。

 赤い革で、真ん中に笑うくらい大きなまん丸い鈴を付けていた。


 そんな恰好だから、今もすれ違う人から遠くから、彼女の事を目に焼き付ける男共が後を絶たない。

 意に返さず、ガイドに促された彼女は梅田駅からJR大阪駅まで陽気に歩く。

 信号に捕まらなければ、三分もらない。


 立地的には、環状線の線路をくぐる。

 潜ってJR大阪環状線の内側、つまり、“結界”の中に入った。


 ――!!


 鈴が鳴る。

 赤い首輪の上にある、紫色の唇が笑う。


 「うにゃにゃ。これはたまらんにゃ~」


 鼻筋の通った端正な顔立ちに、雑に塗った紫のアイシャドウと口紅が何故が彼女の魅力を引き出していた。

 頭にのっけた、猫耳のカチューシャも含めて、、、。

 ガイドが、悪戯いたずらっぽく聞いて来た。


 「今、結界の中に入ったの、分かりました?」

 フフンと鈴と鼻を鳴らし、彼女はガイドに答える。


 「これを感じ取れにゃいEG使いなんて居ないにゃ」


 そう答えた彼女に、何故なぜかガイドは満足するように頷いている。

 態度もちょっとエラそうになったが、そんなのは無視。


 「バテスト様、これからどうします? 早めに食事を捕られますか? ホテルでゆっくりしますか?」


 彼女=バテストは、ガイドに首だけ向けた。


 「キミは、モノアイの居場所を知ってるかにゃ?」

 「いえ。日本橋周辺を縄張りにしてる、とは聞いてますが、さすがに場所までは、、、」

 「じゃ、モノアイの何を知ってるにゃ?」


 ガイド、少し困惑。


 「知ってると言っても、賞金ポスのデータにアップされている情報くらいしか、、、」

 「それはつまり、って事だね」


 ガイド、固まる。




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