それともここに入ればサイラーの
そんな軟弱な奴は、本来チームには要らない。
なのにチームを追い出されずに済んでいるのは、もしかしたら錦戸の
錦戸の諂い。
それは、どんな奴に対しても、命令されれば素直に返事をしてパシリになれること。
一切、歯向かわない。
錦戸より、後からチームに入った者。
明らかに、年下の者。
その他諸々の者。
とにかく、分け
まるで命令される事に喜びを感じているように、、、。
正に、ナチュラル・ボーン・パシリ。
上からの指令を、しくじった者が殴られる。
そいつが今度は、近くに居た自分より下の者を殴って気を晴らす。
そしたら今度はそいつが、入りたての新人を殴る。
新人は、、、どうする?
誰かを、殴る?
錦戸か?
だが、、、
不思議なことに、錦戸は殴られない。
何故か、殴られない。
殴ったらすぐに骨が折れそうってのもあるが、理由はそんな事ではない。
何故か、殴る気すら
卑屈な笑いに、、、。
ただその代わり、パシリにさせる。
今も新人に、『コーラ買って来い』と言われた。
言われた錦戸は『ハイ』と、良い返事でパシった。
小走りでコーラを持って来た錦戸の顔は、やっぱり卑屈だった。
ただ今回ちょっと違ったのは、珍しく錦戸から声を掛けた事。
「あああ・あの、、、」
「何やねん」
錦戸をパシらせた新人が、ウザそうに錦戸の顔を見る。
「じじ、実は、ああっちに何か、え、え、え、えぇもん、、、あった!」
「
「み、見に行こ」
「はぁ?」
「行こ行こ、みみみ見に行こ」
あの錦戸が、エラく積極的だ。
ま、コーラを買って来てもらった手前、新人は見に行っても良いかと思ってしまった。
「い、行こ、行こ」
「
それが新人の、世界の終わりだった。