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蝶舞山揺 伍 その1

 大下係長は、横目で見る。

 チラッと見る。

 今日も彼女のチチが、その背中からはみ出る横乳が、縦横じゅうおう無尽むじんに元気に揺れる。

 大下係長は、バレないように見る。


 小早川楓。


 半年ほど前、自分の部下になった。

 の少し前、急遽きゅうきょ作られたこの部署に、急遽配属された人員だ。


 正式な警察官でも無いし、公務員でもない。

 特殊な案件を扱う、非正規の国家公務員。


 世界を震撼しんかんさせたスードラの大統領暗殺事件後、各国で現れ始めたEG使いを日本で取り締まるための特殊な部署。

 そういう部署ところに来るだけあって、少なからずの能力も多少はある。


 観える。

 感じる。


 その二つは大前提としてゆうするが、この部署が出来た当時、能力的に見れば町のよく当たる占い師レベル。

 霊的に、、、貧楚ひんそ


 それが今では、EG波もかなり自在に使えるほどに成っていた。

 驚くなかれ、なんとを使わないで、だ。


 これがなんと凄いことか、、、!


 でも大下係長は、その凄さを半分も理解していない。

 周りが『スゴイ』と言うので、凄いことなんだと理解している。


 思えば、あの女子高生との出逢いが大きかった。

 ジャングルブーツを履いた、女子高生。


 「あのの言う通り、あんなソフト使わんでも、ホンマにあたしでも簡単にEG波使えるようになったわ!」


 そう言った横乳を思い出し、揺れる思いと感心する思いを同時に浮かべてた。


 横乳。

 跳ねる横乳。

 あぁ、横乳。


 横乳がコミカルに動く理由は、“コ”の字に並べたデスクに三台のモニターがあり、それぞれを操作するキーボードも三台並んでいる。

 それを椅子の上でクルクル機敏に回りながら、器用に操作するからだ。

 横目で見る大下係長。


 ――まるで全盛期の“コムテツ”やな


 54歳の大下係長は、軽快なリズムを頭の中で鳴らして視線を動かした。


 絵に描いたような巨乳。

 これはケシカラン巨乳。


 だが、まじまじと見てはイケナイ。

 そういう目で、見てはイケナイ。

 どういう目でも、見てはイケナイ。


 ただせさえ五月蠅うるさいこのご時世。

 加えてこの横乳、いや、小早川楓は、あの小早川警視総監のお孫さんなのだから、、、。


 「係長!」


 呼ばれて、自分の身体が飛び上がるのが分かった。

 いやしい考えをしていると、人間て本当にビクッとなるのだなと猛省。


 「どど、どした?」


 取りつくろっているのがバレないか心配する54歳。


 「12分前に上がった動画やねんけど、うちのチェッカーに引っ掛かったからちょっと確認してくれへん?」


 左のモニターをうながされて、観た。

 そこには、スマホで自撮りする意志の強そうな女のの動画が流れた。




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