録画した映像をアップし、さて、と歩き出したらすぐに佳穂のスマホがバイヴしながら呼び出し音が鳴った。
非通知ではないが、心当たりのない番号が表示されてる。
タイミング的に、なんか関係あるな~と思いつつ、おそる恐る出る。
「、、、はい?」
まったく聞き覚えの無い声が、佳穂の鼓膜を揺らした。
「もしもし~、佳穂ちゃんか? ジブン、勇気あるなぁ~」
なんともゴキゲンな声は、より佳穂の警戒心を強める。
「誰?」
「結界内に住んでるモンや」
――でしょうね
思った通り。
でも、そうなると思いつくのはひとつしかない。
「じゃぁ、あなたEG使いって事?」
「そやな」
ゴキゲンな声は、当たり前に答えた。
当たり前だが、佳穂に知り合いのEG使いなど居ない。
居ない事に疑問を持つべきだったが、佳穂は違うところに疑問を持った。
「なんであたしの番号知ってんの?」
耳に聞こえたのは、中年オッサンが発する笑い声。
「聞きたいんはそこか~w」
本気で笑っていた。
受話器の声は、陽気に話す。
「そんなん知らんでも掛けれるで。ある程度の
佳穂には、答えの意味が理解できなかった。
――番号を知らなくても掛けれる?
え? どゆこと? と頭で考えてたので、当然佳穂のセリフはこうなる。
「、、、?」
関西人にしては、結構な“間”が
取り
「それよりさっき動画上げたやろ。あれはアカンで」
これにはすぐ反応できた。
「観たんや。なんで?」
「あんな動画上げたら、そのスマホ即逆探されて『わたしここにおりまっせ~』って宣伝して歩いてるみたいなもんや。そんなんここの連中、大好きやで」
佳穂、“?”顔。
「大好きの意味が解らんわ」
「ざっくり言うとな。結界内に集まってるEG使い、来たのはえぇけどその力を使われへんねん。しゃぁから暇を持て余しとんねん」
デジャヴのように“?”顔。
「
「教えたろか?」
――
心の中でのツッコミは音速。
「変に使うとな、近くに
「ふ~ん」
気の無い返事。
「そこはEG使い同士や、すぐに殺し合いが始めるわな」
「嘘やん」
「ほんでそれが大きくなったら、その場所を仕切ってる強いEG使いが出てきて皆殺しやな」
「ホンマに?」
「ホンマほんま。ほんでまたそれが土地の境界線近くやったら、越えた越えてないの言い合いで強いEG使い同士の
ちょっと想像できなかった。