嘘ではない。
自分でも解ってる。
本当の事を聞いてもこう言ってしまう関西人の口癖が、佳穂の口から出ていた。
「今アンタは、結界内にケンカを売りに来た女として見られてる。あんな動画上げたからな。えぇ遊び相手や」
佳穂は、背筋が寒くなるのを感じた。
季節のせいではない。
「遊び、、、相手って、、、」
「教えといたるわ」
――しゃーから、何でエラそうなん?
ツッコミは止めない。
「ショボい使い手ほど自分の能力使いたがんねん。使いたいねんけど、強いヤツとはやりたない。確実に自分より弱いヤツを常に探しとんねん」
受話器の向こうで、イヤな笑い顔をしているのが、何だか想像出来てしまった。
「確実に自分より弱いヤツ。今で言うたら、佳穂ちゃん、アンタの事やな」
「何それ」
何でそうなるのよという気持ちが、口調を強くさせていた。
「オレに怒ったってしゃーない」
「そやねんけど、、、あたしEG使い
「そんなん関係無いねん。ショボいEG使いにしたら、子供が初めてオモチャを使いたくなる心境やからな」
「キモ」
佳穂の顔が、クシャっとなる。
「EGも使えんシロートの女が、しかも結界内の悪口言う女やから、殺されても誰からも文句は出んやろぅと単純に考えるわな」
「そう取るか、、、」
「ショボい使い手には格好の
言われれば、全くもってその通りだと思った。
子供が初めてオモチャを使いたくなる心境、、、。
手に取るように解る。
低能な奴らが考えそうなことだ。
「ホンマやな。あたし、ヤバいな」
「分かってくれた? メモっとけよ」
「、、、うん」
佳穂は、自分の置かれた立場が何となく解った。
結界の中に入った自分の末路を、簡単に想像できてしまった。
次の言葉が出ない。
無言でも、神妙になった佳穂の雰囲気は伝わるのだろう。
ゴキゲンだった声も、妙に優しくなっていた。
「大丈夫か?」
――え? 心配してくれんの?
そこにちょっと驚いた。
EG使いに、心配されるなんて、、、。