深夜でもないのに広々とした道路に走る車が無く、そこを堂々と歩く自分がちょっと不思議だった。
「なぁ、、、」
「なんや?」
「日本橋って、こっちでえぇの?」
佳穂がモノアイに聞いていた。
別に疑ってる訳ではなく、単に意味ない会話の一つだった。
「
それに対しモノアイは、日本橋への最短距離を取らずに少し遠回りさせてる事に佳穂が気付いたと思ってその理由を話し始めた。
「真っ直ぐ行ってもええねんけどな、中之島にちょっと
「え~、誰?」
「言うても知らんと思うけど」
「ええやん、教えて」
「中之島の“
「伯爵、、、エラいかっこええ名前やな」
「モノアイもカッコええっちゅうねん!」
「ハイハイ。ちょっと今思ったけどな、、、」
「何や?」
「EG使いって、みんな変な名前なん?」
大笑いするモノアイ。
確かに、と膝を叩く音が聞こえる。
モノアイが笑ってる姿を想像できた。
昭和なオッサン。
「笑い過ぎ!」
「すまんすまん。教えたるわ」
「頼むわ」
「一連の事件が日本で起こり始めた時な、とっかかりを作ったのはネットやSNSの住人やってん」
「、、、住人?」
「そ。ま、そういうオレも世間で言う“ヲタク”に分類される人間やってん。なんのヲタクやったかは聞きなや」
モノアイの言い方に笑った。
「聞いたら引くヤツやな」
「
「ハンドルネームか、、、」
「それの
「そゆ事ね」
「しょーゆー事!」
「しょーもなっ!」
あの結界の中を一人で歩いているってのに、こんなにも笑えるなんてと、佳穂は心の中で感謝していた。