ばーちゃんが不思議がった。
「なんで、女物の下着がいるん?」
「えーと、女の子がいるんだ。部屋に」
かなり無理がある説明だと自分でも思う。いきなり朝から家に女の子がいるなんて変だよね。でも少々ボケている僕のばーちゃんだから受け入れてくれると思う。
「ま、
「うん、まあそんなもの。たのむ今すぐ。はい、財布」
ほら、セーフだったでしょ。怪しまれなかった。
でもばーちゃんには申し訳ない。買い物に行かせちゃった。
少ししてから、ばーちゃんが帰ってきた。
よし、ちゃんと買ってくれたよ。
ショーツの色、黒か~。ま、何でもいいか。
僕は部屋に戻った。
「はい、これ
「できない……」
「……」
いや、できないって言われてもですね……
中身、犬だもんな~ できないよね~
仕方が無いですよね~ じゃあ本当に仕方が無いけど僕が穿かせるか。
「うそ。できるよ」
―― ガクッ
おーい。うそつけるんかーい。
これはもしかしたら『モニタリング』なのではないか? キョロキョロとカメラを探す僕。
「じゃあ、ちゃんと
カメラはない。僕は安心して部屋から出た。女の子は自分で下着をつけた。
「はーっ」ようやく一息ついたのでため息もついた。天使が死んじゃう。
◇ ◇ ◇
僕は女の子と話をすることにした。
「それでだ。ふせポーズで座っている君。元ロクセットの君だ!」
「はい?」
「これからどうするの?」
「どうもしません」
「言葉わかるんだねえ。何でさっき逃げたの? 茂みで待っててって言ったのに」
「遊びたかったからです」
「困るんだよ。まあいいや、これから人間やっていけんの? ちゃんと」
「わかんなーい」
「わかんないじゃないっ」
「ここに居させてください。私ん
そうね。ここはロクセットの家でもあった訳だ。間違ってはいない。
「いいけどさ、色々見つかるとまずいわけ。家族でもないんだから」
「れっきとした家族ですよ私は。でしょ? 浩介」
「ロクセットは確かに家族だった。でも君は……」
「家族です!」
そのまん丸の目で見ないでおくれ。ショーツからはみ出した尻尾も振らないでおくれ。こいつはやっぱりロクセットだ。
「わかった、わかった。家族と言うことにしよう。かなり無理があるけどね」
「私、浩介の妹ちゃん?」
「そうだな、とりあえず妹ということにするか。外出る時はその尻尾隠せよ」
「ワン!」
「わん?」
「間違っちゃった。うん、だ」
先が思いやられる。
ばーちゃんから朝食コールが入った。