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第51話 お出かけ

 ある晴れた土曜日。

 日向と怜、凪と広樹、そして翔と拓海がショッピングモール前に集合した。

「こんなに大勢で出かけるの、初めてだね」と日向。

「ひな、迷子になるなよ」と怜に言われ、

「ちょっと怜さん! あ、わかった……こうして欲しいんでしょ?」と腕を組んだ。


 そして既に広樹と腕を組んでいる凪が言う。

「ヒロさん……今日はどこの店に行くの?」

「そうだな、まずはあそこかな」

「……僕の服も選んでくれる?」

「もちろん」


 その様子を見ていた翔と拓海。

「相変わらず熱いな……」と拓海。

「まぁいいんじゃない? 平和だし」と翔。

「どこに行くんだろう」

「ヒロさんについて行く感じだと思うよ」


 最初に入った店はカジュアルブランドの店であった。トレンドが取り入れられており、かつ機能性に優れたアイテムが揃う。

「日向くん、ピンクが似合うんじゃない?」と広樹に言われる。

「ピンク? 着たことない……」

「薄いピンクなら、優しい感じで合うと思うよ」

「そうですか……?」

 鏡でピンクのシャツを合わせてみる。意外と……似合う?

「いいじゃないか、ひな」と怜に言われ、即決する日向であった。


 翔や拓海、凪もシャツを選んでもらい、購入した。

「プロに選んでもらえるの、嬉しいな」と翔が言う。

「ここまで鮮やかな青、初めてかも」と拓海も満足そうである。

 そして別の店でボトムスを選ぶ。

 先ほどのトップスに合うものを広樹に選んでもらった日向、翔、拓海、凪の4人。身長も体型も違う4人にそれぞれ違うものを手際よく選んでいく広樹を見て、凪は尊敬の眼差しを向けた。


 そして雑貨店でインテリア雑貨を見ている日向と怜。

「怜さん、これお洒落だね」

「あそこに飾るか?」

「これも一緒に買う?」

「こっちの方がいいんじゃないか?」

「ほんとだ、さすが怜さん♪」


 そんな2人を見ながら翔が、

「何故だ……父親なのに新婚さんに見えてきた」と言っている。

「ハハッ……ほんとだ」と拓海も笑う。

「新婚さんか……」と凪も言う。いつかヒロさんと一緒に住めるのかな……なんて。



※※※



 ランチで洋食店に入った6人。早速日向が、

「僕ハンバーグ食べたい!」と言い出す。

「ハンバーグ好きだな、ひな」

 だって初めて怜さんとデートした時に食べたのがハンバーグだったし……と思い出してご機嫌な日向である。

 6人でランチしながら他愛のない話をする。とにかく楽しい……こうやってみんなで過ごせる時間が。


 そういえば、翔が葉月と一緒にバーに来て葉月が先に帰った時から……何となくだが翔が楽しそうにしている、と拓海は思った。

 今日もいつも以上によく話している……何かいいことでもあったのだろうか。


 そして食後にゲームコーナーに立ち寄って少し遊び、ウィンドウショッピングしながら過ごしているとあっという間に時間が経った。みんなで広樹にお礼を言う。

 そして、

「そろそろ店に行くよ」と怜。

「僕も行くー!」と日向。

「俺たちは帰るな」と広樹は凪と帰る。


「翔はどうする?」と拓海が尋ねる。

「うーん……じゃあもう少し付き合ってくれない? 拓海……」

「ああ、いいよ」



※※※



 広樹の家に来た凪。

「ヒロさん……今日買ったの……着ていい?」

「うん、見てみたい」

 広樹に手伝ってもらって、凪が着替える。

「……似合ってる、凪」

「やっぱりヒロさんの選んだ服……好き……!」

 凪が今日最高の笑顔を見せたので、広樹はたまらなくなって、凪を抱き締める。

「可愛い……凪……」

「ヒロさん……」


 6人でいる時も楽しそうにはしていたが、自分と2人きりになった時に見せてくれる、輝くような笑顔。その笑顔があるから、その笑顔を守りたいから自分は頑張れる……そう思う広樹だった。

「ねぇヒロさん……こっち見て……」

 凪がそう言って広樹にキスをした。



※※※



 バーに着いた怜と日向。

「楽しかったー♪」と言いながら日向が紙袋の中身を見ている。

「昼に集まるのも気分転換になっていいな」と怜。

「怜さん……先に2階行ってるね」

 そう言って日向が2階へ行った。準備が終わったら来て、という意味である。

 今日は特に嬉しそうにしていた日向。良かったなと思いながら怜が準備を進める。


 そして怜が2階に行くと、ギャラリーのソファで日向が眠っていた。

「……だから2階は寝る場所じゃないって……まぁ、開店まで寝かせてやるか」

 怜は薄手のブランケットを日向にかけて、日向の頬に優しくキスをした。



※※※



 翔と拓海は喫茶店でしばらく休憩してからショッピングモールを出て、並木道を歩いていた。

「それにしてもヒロさんはすごいな、あんな短時間でその人に似合う服を選ぶなんて……」と拓海が言っている。

「これぞプロの仕事って感じだよな……ああいう自分のスタイルがある人、尊敬する」と翔も言う。

「翔だって……個性強いじゃん」

「え? まぁ……そうか?」

「俺から見たら翔はいつだって……自分らしくいられていると思う」

「拓海……」

「今日の翔、すごく楽しそうだった。俺も楽しかったよ」


「あのさ、拓海……」

「ん?」


 翔が立ち止まった。それを見た拓海が、

「翔……どうかした?」と言う。



「拓海はさ……僕のことどう思ってる?」



「え……?」


 これは……どういうことだ……?




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