男がひとり息絶えた。

以前召喚された多くの勇者の一人として戦った事も有った。その後の彼は、仲間内での仲違いで別れ、一人の冒険者として生きてきた。

召喚の時に与えられた高い能力とスキルが、一人ぼっちの彼を支えた。

しかし、彼を待ち受けていたのは、

彼の無知と純粋な心を利用しようとする悪意の人々。

幾度となく騙され、それ以上に裏切られ、その度に彼の心は傷付き、人を信じる事を恐れた。

その後の彼は、ただ生きる事だけが目的の様に 単独でダンジョンに潜り魔物と戦い暮らしていた。

町に戻れば、僅かばかりの気を許す人々が、彼を優しく包んでくれた。

そして、魔物と戦い、彼は敗れて死んだ。

彼の魂は、この世界を管理する女神の元に導かれる。

「ごめんなさい。貴方の履歴を確認しました。召喚者の全てをフォロー出来ていませんでした。」

「大変な苦労をさせてしまい、心からのお詫びをさせて頂きます。」

「貴方がた、召喚者は死後 どの様な望みが御座いますか。

以前の世界に魂を戻す事も可能です。望むならこの世界に生まれ変わる事も出来ます。」

「この世界の生まれ変わりでしたら、より高い能力とスキルを用意します。産まれ先も王族・貴族等お望み通りに致します。」

「元の世界に生まれ変わるとしましたら、彼方の神にお願いして、好きな人生を送って頂ける様に計らいます。」

「えぇ！貴方の望み通り、最後に私の加護を与えます。二度と召喚されない様に強力な加護を！」