貴族達の住むお屋敷を抜けて、裁判所にやって来た。
裁判所も四角くて大きいが、こちらはよりシンプルで格式高い感じだ。
というか、入口の目の前に置かれている多分神様の像デカいな!!
呆気にとられていると、オクト君が微笑みながら言う。
「この像は、『サジタリウスが裁定を下している』ところを彫ったらしいぜ?」
「なるほど……」
一神教ってこんな感じなんだ。なんか馴染みがないから、不思議だ。
っていうか、この神様の像って……上半身人間の下半身馬って……ケンタウロスじゃない!?
「あ……えっと、シンピテキデスネ」
イケナイ。驚きすぎてカタコトになってしまった。ても、幸か不幸かオクト君は気づかなかったらしい。
「だろ? んじゃ、戻って図書館みっか!」
私達は来た道を戻って、図書館前に来た。
図書館も四角くて……四角い建物多いな! とにかく、そんな感じだけどシックで入口の装飾が……誰かはわからんないけど、綺麗な女の人が画かれていた。
「この女性は……?」
思わず私が訊くと、オクト君が答えてくれた。
「ああ。聖女『ゼナイド・クララック』様だな! もう何百年も昔の人……ってエルフのお前にはあんま関係ねぇか……。まぁ、ゼナイド様は『サジタリウス様の啓示』を人々に伝えて、災害から救ったお方だな!」
「なるほどね……?」
私が『エルフ』なのは、キャラメイクの影響なんだけど……。話を戻すとつまり、神様の声を聴いて災害から人々を救ったと。凄いな……!
「ん? でもなんで、その人が図書館の入口に飾られているの……かな?」
「そりゃ、元々ゼナイド様は司書だったと伝わっているからな! ルクバト以外の都市でも、大体本関係のとこのシンボルになってるぜ?」
ほえ〜、納得……!
「中、入るか?」
オクト君にそう訊かれ、私は首を横に振る。あんまり、図書館は好きじゃないのだ。あの静けさというか、独特の空気が……ね?
「そっか、んじゃあ一層目に戻って今度こそ商店街だな!」
うっ……私、我慢できるかな……。ウィンドショッピング欲を。
「ヨロシクオネガイシマス」
ショッピング欲を抑えられるか不安で、カタコトになる私をオクト君が不思議そうに見つめてくる。
き、気まずい!
申し訳なさと気まずさと、不安を誤魔化すように商店街へと向かうのだった。