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極道という生き方-3



龍二は驚異的な回復力で2週間で退院までこぎ着けた。

迎えに来た悠亜が嬉しそうな表情で帰る準備をしている。

ただジョージの話をすると一気に泣き出すので龍二は気が抜けない。

ふと会話の途中でジョージのことに触れてしまうのだ。

悠亜も責任を感じていた。

もちろん彼女に過失はない。

だが実際は龍二の指示でジョージは悠亜を護衛していたのだが、悠亜にしてみればジョージを守れなかった罪悪感に苛まれていた。

明るく振る舞っている悠亜だが、その心に大きな傷を負わせてしまったことに龍二はこころが痛んだ。

「翼くん、ちょっと私の家に寄っていい?」

悠亜が問う。

【どうした?】

と聞き返す。

「そろそろ衣替えだから服を取りに行きたいの。

たぶんお父さんは仕事でいないと思うけど、もし会っちゃったら気まずいし…。」

悠亜の気持ちを察し、

【わかった、行こう。】

と快く答えた。

「ありがとう!」

と嬉しそうに笑う悠亜に気持ちが軽くなる。

本来なら美佐子に頼むのだろうがジョージの一件以来、庭に作ったジョージの墓で毎日泣いているらしい。

性格的に気丈に振る舞っていて、警備の警察におにぎりを配るなどしているがやはりかなり堪えているに違いない。

それを察して悠亜は龍二に頼んだのだろう。

「荷物は私が持つね!じゃ、行こう!!」

悠亜が先陣切って病室を出る。

龍二は大きく深呼吸をして気持ちを整える。

この病室を出たら再び戦いが始まる。

それは最後の戦い。

気を引き締めて龍二は悠亜に続き病室を出た。




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