『龍生? 久しぶりだな』
夏休み終盤、大翔と二人で少し遠出した先で
呼ばれて振り返ると元彼と当時の浮気相手だった女と
一歳くらいの男の子がいた。
『そうだな』
何の悪びれもなく声をかけて来た
嫌悪感を覚えたが表面上は笑顔で返した。
大丈夫、隣には大翔がいてくれる。
『隣にいるのは新しい恋人か?
〚よく、新しい恋人ができたな。
ピアスのこと話したのか?
それともまだ抱かれてないとか?〛』
お前に関係ないだろと言いたかった。
実際にはピアスは残り二個になっていた。
『初めまして、龍生の恋人の塩屋大翔といいます。
デート中なので、もし、龍生に
用事があるのでしたらすみませんが
またの機会にしてください、失礼します。
龍生、行くぞ』
今の言葉が聞こえていたのか定かじゃないし元彼とは言っていないが
何かを察したらしい大翔は俺の手を握って
学校でもプライベートでも見たことのない
『そうだな…… 大翔、帰ろう』
複雑な感情を抱えたまま大翔に手を引かれながら
マンションに帰るべくホームに向かった。
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今日から長い二学期が始まる。
学生にとって一番嫌な学期だろう。
俺も学生時代、二学期が一番嫌いだった。
『おはよう、“穂積先生”』
校門ですれ違った大翔に挨拶をされた時
笑いそうになるのを耐えた。
『塩屋、おはよう』
わかってる、今は朝の登校時刻で他の教師や
生徒達がいるしタメ口なのは何時ものことだとしても
さすがに“名前”で呼ぶわけにはいかない。
今日は始業式と短い連絡事項を担任から
聞くだけだから三時間くらいで終わる。
放課後、大翔が理科準備室に来た。
ドアと鍵を閉め、抱き締められた。
『帰る前に龍生に会いたくて来た』
夏休みの間も大翔が友人と遊びに行ったり、
俺が出勤の日を除けばほぼ一緒にいた。
『俺も会いたかった』
プライベートで会うのとは違って
こうして理科準備室で密かに会うのは背徳感と緊張感がある。
『よかった、それじゃ帰るな。
あ、元彼から連絡来ても一人で会いに行くなよ?』
『わかってる、そもそも、一人で会う勇気がねぇよ(苦笑)』
一人で
『〚龍生のピアスも後一つだし
次の週末でやっと元彼からの束縛から解放されるな〛』
そう、一年間外せなかったピアスも大翔のおかげで
後一つでなくなる。
『〚本当は、今、
始まりが
『…………わかった。
鍵は閉めたし、今日は始業式だったから
他の生徒も来ないだろうし全部脱げよ』
若干命令口調なのがドM気質の俺をぞくぞくさせた。
大翔に見られながら全部脱いだ。
既に何度も抱かれているのに
あえて命令されて脱ぐのは羞恥心が芽生える。
『あんまり声出すなよ』
今日は始業式だったから普段と違い静かだ。
『わかってる……』
大翔の指が後ろの穴と乳首に触れた。
『ぁっ、いきなり、両方は……』
俺が両方一緒にされるのが弱いことを知っているからわざとだ。
『気持ちいいんだろう?』
確信をもって言われ、
言葉で答える代わりに中を締めてしまった。
『なら、この、忌々しいピアスを
外せたら挿入してやるよ。
ほら、できるよな?』
今日は終始命令口調だ……
俺は震える手で最後のピアスを外した。
『外したから、挿入して…… 大翔の、早くほしい……』
『よくやった。
じゃあ、約束通りに挿入してやるから俺の上に座れ』
制服のスラックスと下着を脱いだ大翔は
俺を抱き上げて自分の足に座らせた。
『ぁっ、はぅ、ぁぁ!!』
既に完勃ちしていた大翔のものが
一気に最奥まで入ってきて一瞬呼吸が止まった。
『気持ちいいか?』
声が出ないから代わりに頷くことで返事をした。
『ならよかった、ピアスを全部外せた記念に
週末、プレゼントやるから楽しみにしてろよ』
話しながら突かれて、わかった
と意味を込めて首肯で答えた。
事後、大翔は今日も中に出さなかった。
『ありがとうな、そろそろ帰るから
家に着いたら連絡する』
『わかった、気をつけてな』
事後処理をきちんとして大翔は
理科準備室を出て行った。