この国の王子ー
と出会ったのは、10歳のときだった。
両親から婚約者がいることを初めて聞き、
ただ嫌だったら断ってもいいんだよと言われて碧人様の誕生日パーティに連れて行かれた。
10歳の私に恋をしたことがなかったため、
結婚なんて想像もできなかった。
ー婚約者にはとりあえず会うけど、
婚約はなしにしてもらいたいな。
会う前はそう思っていた。
それなのに、
初めて会ったとき、私は王子に一目惚れした。
金髪に真っ直ぐな瞳、
そして何といっても「初めまして」と言ったときの王子の笑顔に心を打たれた。
外見だけじゃなく同い年と思えないくらい、
穏やかで大人な王子のことが好きになってしまい、
家に帰った途端、両親に「結婚したい!妃教育を受けたい!」と話しして笑われたくらいだった。
それからは妃教育として、色んなことを勉強した。
私は努力しても魔力は強くならなかったが、
妃教育は沢山努力して、一通り必要なことはできるようになった。
王子とはたまに話すくらいだったが、
いつも微笑んでくれて、
「妃教育の先生がもう教えることないって褒めてたよ」と嬉しそうに話してくれた。
このまま結婚して、王子を支えていく、そう思っていた。