そういえば、
思い返してみれば、デートはおろか、
私たちは2人きりでご飯も食べたこともなかった。
お互いの両親も含めて度々食事会が開かれていたため、今まで気にしていなかったが、
周りの婚約者同士やカップルは、
デートに行ったり、お昼ご飯を一緒に食べたりしていた。
ーそっか。聖女のことが好きだから、誘われなかったんだわ。
私は胸が苦しくなるとともに、
このまま結婚していいのか疑問に思った。
聖女である
貴族ではないが魔力が強いため、
特別に魔法学校の入学を許可された。
その魔力は先生も驚くほどで、
100年に1人の才能で、
数々の国の問題を解決したため、
王族に『聖女』と称号を与えられた。
貴族ではないが、
王子と結婚するには申し分がないのである。
私がいなければ、
碧人様はさつき様と結婚できるんだよね、
王子と聖女が一緒にいるところは見たことがないが、きっと私がいるからアプローチできないんだろうー。
私は王子と聖女が上手く行くよう、どうにか上手く婚約破棄できないか考えることにした。