私はニーナ・ルアナ・フィラリール。
フィラリール王国の第一王女。
剣と魔法のファンタジー世界で、私の国は戦争に巻き込まれていた。
戦争を回避しようと様々な努力を行ってきたけど……
多くの民を救えたとは思っている。
病気の蔓延を防いだり、魔物の襲来に対し壁などを設置したり、出来る限りのことはしてきた。
5年間、私は必死に生きてきたんだけどね。
でも……
やっぱり私程度じゃ海千山千の老獪な貴族たちに勝てなくて。
結局追い詰められ殺された。
まこと、なんか勘違いしているみたいだけど……実は私2回転性してるんだよね。
※※※※※
高校2年生の時家族旅行中に事故に遭い命を落とし、神様に転生させられた。
ある条件を飲んで。
私、大好きな人がいた。
同級生の木崎誠。
関東のとある海沿いの高校で一緒だった彼は、高校1年生の時に両親を事故で亡くしていて、家が隣同士だった私とは幼馴染。
両親同士がとても仲が良くて、同じ名前にしたんだよね。
そう、私は真琴。
諸山真琴。
彼は小さいころから臆病な私をいつも守ってくれて……
私は保育園の時からもう彼のことが好きだった。
でもね、近すぎたの、私たち。
家も隣で、保育園から高校までずーっと一緒。
いつも一緒に遊んでいた。
しょっちゅう泊まりっことか、5年生くらいまではお風呂も一緒に入っていたし……
6年生の時はこっそり彼が寝ているベッドにもぐりこんで、抱き着いたこともあったりして、スッゴクドキドキした。
うう、恥ずかしい。
だから私は好きだったけど彼は……
好きではいてくれたけど、妹みたいな感じだった。
でも高校2年生になってすぐ…
誠は私に告白してくれた。
あの時の誠、精いっぱいおしゃれしてくれて、カッコいい肩掛け鞄してて…
1年の時に彼の両親が亡くなって、田舎のおばあちゃんが引き取るような話だったんだけど……彼、私と離れたくないって言ってくれたの。
凄く嬉しかった。
お父さんもお母さんも「結婚すればいいじゃん」ってずっと言っていた。
私は本当にそうなるって信じていた。
だけど誠が告白してくれて「家族旅行から帰ってきたら返事するね」って言ったのに。
私は死んでしまった。
死んでしまったこともすごく悲しかったけど、私が一番嫌なことは誠と離れることだった。
だから私転生するときに神様に頼んだの。
※※※※※
「何でもするから誠と一緒になりたい」
「ふむ。ならばわしと賭けをしよう。お主が転生する先は戦乱渦巻く異世界じゃ。もしお前さんが転生する先の王国を救ったら、死んだときの状況に戻してやろう。失敗したら……ふぉふぉっ、それはその時の状況次第じゃな」
こうして私は神様と賭けをした。
でも酷いよね神様。
なにも力とかくれなかったの。
何も知らない女子高生が世界なんて救えるわけないでしょ?
転生直後なんていきなり死にかけてたし。
何とかしようと現代の知識とかで頑張ってみたけど、結局私はその異世界でも殺されてしまった。
最後危なく凌辱されそうだったけど、なんか懐かしい声が凄く心配してくれて……
うん。
結局死んじゃった。
あ、もうだめだって思ったら、また神様に呼ばれたんだよね。
「ふーむ。70点というところかの」
いきなり採点されてちょっとイラっとしたのは内緒。
でも意外に高得点?
私結局あの世界を救えなかったしね。
「賭けはわしの勝ちじゃの。じゃがお前さん、頑張ったことは素直に評価しよう。お前さんのおかげで多くの命が救われた。ありがとう」
え、なんかお礼された?
……じゃあ、私もお願いします。
誠に会いたい。
一緒に生きていきたい。
「ふむ。まあよかろう。じゃがな約束は約束。無条件というわけにはいかん。お前さんたちの絆を見せてみろ。さすれば二人暮らせるようにしてやろう。どうする?」
「やります」
「ふぉふぉ、即答か。面白い。条件も聞く前に即決とはな。……後戻りはできぬぞ?」
「う、で、でも、私誠と一緒になりたい。彼のこと好きなの!!」
※※※※※
そして課せられたミッション。
チョット後悔してます。
だってさ。
ニーナの体で二人一緒に暮らして、私からバラしたら即終了。
誠が私を思い出して、そして心から私を愛してくれるってならないといけないだなんて……
うう、無理ゲーじゃない?
だってもう5年も経っちゃっているんだよ?
そもそも誠、もし彼女とかいたらもうだめじゃん。
「ふぉふぉ、あの男は誰とも付き合ってないぞ?そのくらいではないとフェアではないからのう。せいぜい頑張るんじゃな」
うう、そうなんだ。
誠まだ付き合ってないんだね。
えっと、もしかして私の事……
ううん。
ダメよ期待しちゃ。
もしだめになったら私きっと立ち直れない。
期待しすぎないように頑張ろう。
そしてあの日。
誠バイクで事故を起こして……
私との奇妙な共同生活が始まったんだ。
でもさ。
誠……なんか変わってなくて安心した。
見た目はね、その、少しカッコ悪くなっていたけど……
ちょっと太っちゃっていたし……
だけど私の大好きだった彼の瞳は変わっていなくて。
うう、だけどニーナの見た目ってこの世界じゃおかしくないかな?
こんな美人めったにいないんだからね?
現実の私こんなに可愛くないよっ!!
そ、それに、誠が、その、わ、私の体……いじるし。
主導権無いくせに、感じちゃうの!
ううう、もう……
恥ずかし死ねる。
でも、せっかくのチャンスだもん。
きっと幸せになるって私は決めたんだ。