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第10話 ニーナのミッション

私はニーナ・ルアナ・フィラリール。

フィラリール王国の第一王女。


剣と魔法のファンタジー世界で、私の国は戦争に巻き込まれていた。


戦争を回避しようと様々な努力を行ってきたけど……

多くの民を救えたとは思っている。

病気の蔓延を防いだり、魔物の襲来に対し壁などを設置したり、出来る限りのことはしてきた。


5年間、私は必死に生きてきたんだけどね。

でも……


やっぱり私程度じゃ海千山千の老獪な貴族たちに勝てなくて。

結局追い詰められ殺された。


まこと、なんか勘違いしているみたいだけど……実は私2回転性してるんだよね。



※※※※※



高校2年生の時家族旅行中に事故に遭い命を落とし、神様に転生させられた。

ある条件を飲んで。


私、大好きな人がいた。


同級生の木崎誠。

関東のとある海沿いの高校で一緒だった彼は、高校1年生の時に両親を事故で亡くしていて、家が隣同士だった私とは幼馴染。


両親同士がとても仲が良くて、同じ名前にしたんだよね。

そう、私は真琴。

諸山真琴。


彼は小さいころから臆病な私をいつも守ってくれて……

私は保育園の時からもう彼のことが好きだった。


でもね、近すぎたの、私たち。


家も隣で、保育園から高校までずーっと一緒。

いつも一緒に遊んでいた。

しょっちゅう泊まりっことか、5年生くらいまではお風呂も一緒に入っていたし……

6年生の時はこっそり彼が寝ているベッドにもぐりこんで、抱き着いたこともあったりして、スッゴクドキドキした。


うう、恥ずかしい。


だから私は好きだったけど彼は……

好きではいてくれたけど、妹みたいな感じだった。


でも高校2年生になってすぐ…

誠は私に告白してくれた。

あの時の誠、精いっぱいおしゃれしてくれて、カッコいい肩掛け鞄してて…


1年の時に彼の両親が亡くなって、田舎のおばあちゃんが引き取るような話だったんだけど……彼、私と離れたくないって言ってくれたの。


凄く嬉しかった。


お父さんもお母さんも「結婚すればいいじゃん」ってずっと言っていた。

私は本当にそうなるって信じていた。


だけど誠が告白してくれて「家族旅行から帰ってきたら返事するね」って言ったのに。

私は死んでしまった。


死んでしまったこともすごく悲しかったけど、私が一番嫌なことは誠と離れることだった。

だから私転生するときに神様に頼んだの。



※※※※※



「何でもするから誠と一緒になりたい」

「ふむ。ならばわしと賭けをしよう。お主が転生する先は戦乱渦巻く異世界じゃ。もしお前さんが転生する先の王国を救ったら、死んだときの状況に戻してやろう。失敗したら……ふぉふぉっ、それはその時の状況次第じゃな」


こうして私は神様と賭けをした。

でも酷いよね神様。


なにも力とかくれなかったの。

何も知らない女子高生が世界なんて救えるわけないでしょ?

転生直後なんていきなり死にかけてたし。


何とかしようと現代の知識とかで頑張ってみたけど、結局私はその異世界でも殺されてしまった。

最後危なく凌辱されそうだったけど、なんか懐かしい声が凄く心配してくれて……


うん。

結局死んじゃった。


あ、もうだめだって思ったら、また神様に呼ばれたんだよね。


「ふーむ。70点というところかの」


いきなり採点されてちょっとイラっとしたのは内緒。

でも意外に高得点?

私結局あの世界を救えなかったしね。


「賭けはわしの勝ちじゃの。じゃがお前さん、頑張ったことは素直に評価しよう。お前さんのおかげで多くの命が救われた。ありがとう」


え、なんかお礼された?


……じゃあ、私もお願いします。

誠に会いたい。

一緒に生きていきたい。


「ふむ。まあよかろう。じゃがな約束は約束。無条件というわけにはいかん。お前さんたちの絆を見せてみろ。さすれば二人暮らせるようにしてやろう。どうする?」


「やります」


「ふぉふぉ、即答か。面白い。条件も聞く前に即決とはな。……後戻りはできぬぞ?」


「う、で、でも、私誠と一緒になりたい。彼のこと好きなの!!」



※※※※※



そして課せられたミッション。

チョット後悔してます。


だってさ。


ニーナの体で二人一緒に暮らして、私からバラしたら即終了。

誠が私を思い出して、そして心から私を愛してくれるってならないといけないだなんて……


うう、無理ゲーじゃない?

だってもう5年も経っちゃっているんだよ?

そもそも誠、もし彼女とかいたらもうだめじゃん。


「ふぉふぉ、あの男は誰とも付き合ってないぞ?そのくらいではないとフェアではないからのう。せいぜい頑張るんじゃな」


うう、そうなんだ。

誠まだ付き合ってないんだね。


えっと、もしかして私の事……


ううん。

ダメよ期待しちゃ。


もしだめになったら私きっと立ち直れない。

期待しすぎないように頑張ろう。


そしてあの日。

誠バイクで事故を起こして……


私との奇妙な共同生活が始まったんだ。


でもさ。

誠……なんか変わってなくて安心した。


見た目はね、その、少しカッコ悪くなっていたけど……

ちょっと太っちゃっていたし……


だけど私の大好きだった彼の瞳は変わっていなくて。


うう、だけどニーナの見た目ってこの世界じゃおかしくないかな?

こんな美人めったにいないんだからね?

現実の私こんなに可愛くないよっ!!


そ、それに、誠が、その、わ、私の体……いじるし。

主導権無いくせに、感じちゃうの!


ううう、もう……

恥ずかし死ねる。


でも、せっかくのチャンスだもん。

きっと幸せになるって私は決めたんだ。


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