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第12話 尊敬しちゃいます

無事帰宅した俺はニーナさんのレクチャーの元購入した物を整理し必要なタスクをこなし、新たに追加されたストレットを行いベッドで横になった。


「はあ、女の子本当にすごいね。ストレッチ馬鹿にしていたわ。明日筋肉痛になるかも」


俺は今まで見た目が良いのは生まれつきだとか整形とかそんなふうに思っていた。

配信されている動画によく『頑張れば変われる』とかそういうの溢れていたけど、なんか冷めた目で見ていたんだ。


俺には関係ないってね。

別にモテたいとか思っていなかったし。


でも今は違うんじゃないかとか思う。


だってニーナさん、メチャクチャ美人なのに凄く努力している。

ストレッチだって『今日はこのくらいだね。慣れたらメニュー増やすよ』とか言っていたし。


なんだろう、生活すべて自分を磨くっていうか、無駄がないし、そして楽しんで行っているんだ。


「はあ、尊敬する」


心から思った。


もちろんニーナさんは間違いなく美人だ。

スタイルも凄い。

遺伝とかそういうものの恩恵は大きいだろう。


でもさ、何もしないでこの姿ではないんだよね。


顔だって……

うん、俺今日初めて眉毛抜いた。


鏡と睨めっこして『あっ、それ抜いて』とか指示されてさ。


俺最初どうせ変わんないよねとか思っていたんだけど。

数本しか抜いてないけど明らかにもっと可愛くなったんだよね。


ああ、知らなかったこと多すぎるな。

たぶんだけどモテてる男たちもきっと努力しているはずだ。


ほら人間はさ、人種とか違っても結局同じ顔じゃんね。

目が二つに鼻があって口一個。

もちろん配置とかバランスは人それぞれだけどさ。


異常がない限りは努力すれば見た目よくできるし、瘦せられるし、鍛えられる。

清潔感とかすごい大事。

無精ひげとかマジないわってレベル。


俺は大きくため息をついた。


「結局原因を他に求めていたんだよな。自分が努力しない事の言い訳の為に」


なんだか目からうろこが落ちた気分だ。

たぶんこれ、見た目だけじゃない。

きっと人生全てがこうなんだと思う。


目標をもってそこに向かって努力する。

そして継続。


俺はまだ22歳。

今からでも変われるとこの時思った。


「ニーナさん」

『……ん?なあに』

「ありがとう」

『……???……どういたしまして??』


俺は感謝して眠りについた。

もちろんいつもより1時間早く目覚ましをセットして。



※※※※※



「ゲチェラッ!ドッカン!ゲチェラッ!ドッカン!ゲチェラ!!……」


俺のスマホの目覚ましがけたたましく鳴り響く。

驚かないと起きない俺は激しいものを探しこれに行きついていた。


午前5時30分。

いつもより1時間早い目覚めだ。


「ふぁあああああーーーん。さあ、今日から月曜だ。がんばろ」


俺はベッドから飛び起き、洗面所へ向かう。

ニーナさんに『女の子は冷えちゃうと大変だからシャワーは夜にして』って言われたから取り敢えず顔と口と髪の毛のお手入れだけだ。


鏡に映る顔は相変わらず美しい。

ちょっと寝癖になっているニーナさんの顔は可愛い。


「はあ、可愛いな。……もしかして俺戻れたら……ニーナさんと……」


やばい。

心臓がバクバク言ってる。


俺は多分めんどくさい男だと思う。

いまだに真琴の事忘れる事が出来ない。

もう亡くなってしまった大好きだった女の子。


もう、会う事なんて絶対にないのに……


「ははっ、ガチで来世で会いたいって俺思ってるもんな。……気持ち悪いな」

『!?……ううっ』


ん?

ニーナさん起きたのかな?


……おはようございます。


『……おはよう』


俺煩かったね。

まだ早いから寝ていてください。

……ていうかニーナさんが居るであろう頭の中どうなってるんだろ。


『……うん。……ばか』


えっ?

なんで俺バカって言われた?


『……』


あー、うん。

何かしたんだろうな。

ごめんなさい。


俺は早速髪を梳かしながら昨日勉強した髪型にチャレンジしていった。

40分くらいで完成した髪型と顔は、天使の様だった。


ニーナさん美人過ぎ。

青みのかかった瞳がとてもきれいだ。


そして朝食を摂り洗濯物干して食器を洗う。

今日は弁当もいつもより小さめな入れ物で用意した。

この体あんまりお腹が減らない。

きっと胃袋小さいんだろうな。


そしていつもの作業着に着替え鏡の前でもう一度チェック。

よし。

俺なら一目惚れしちゃうくらい可愛い。


因みに俺の職場は一応制服というか作業着が支給されている。

営農指導員の俺は作業着一択だ。


まあ私服でも良いんだけどね。

営農指導員は女性もいるから作業着でも問題ない。

服選ばなくていいから楽って、君島さんいつも言うもんね。


あっ、君島さんは指導部所の課長代理さん。

3児の母で実質部長よりも怖い人だ。

いい人だけどね。


以前の俺は何故か若い女の子たちには嫌われていたけど、君島さんには好感度高めだったんだよな。


俺はそんなことを考えながら軽トラックに乗り込み職場へと向かった。


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