凄く色々あったけど実際にはあまり時間は経過していなくて今は4月29日の夜9時を過ぎたところ……
コチッコチッとリビングの大時計が時を刻む音が響く。
信じられないけど俺は今かつての誠の姿で、テーブルの椅子に腰を掛け、目の前の美しい女性、大好きな真琴を見つめていた。
※※※※※
ずっと忘れる事が出来なかった、小さなころからいつも一緒にいた女の子。
兄妹の様に過ごしていく中で育まれていったほのかな恋心。
気付いた時にはもう俺は彼女が欲しくてたまらなくなっていた。
エッチしたいとか、そういう事ではない…くはないけど……
うう、えっと、その、なんかこう、一緒にいたいって……うん。
高校1年の冬にうちの親が事故で亡くなり、俺は一人になった。
田舎のばあちゃんが俺を引き取ろうとしてくれたけど、その時俺は自覚したんだ。
真琴と離れたくない。
ずっと一緒が良いって。
幸いにも親たちはしっかり保険とかに入ってくれていて、経済的な問題はなかったから俺は一人で暮らしていけたしね。
もう大好きだった。
それからすぐに俺たちは2年生に進学して、連休で真琴が家族旅行に行く前の日に俺は告白したんだ。
今思えばズルい聞き方だったと思う。
「俺は真琴と一緒にいたい。俺は真琴の事……真琴は俺のことどう思っているの?えっと、返事は帰ってから聞かせて?じゃあな」
その、恥ずかしいのと、もし断られたら耐えられなくて、しばらく真琴たちが留守にするタイミングで俺は告白することにしていたから……
だから俺は真琴に『好き』とか『愛してる』とか告げてなかったんだ。
そして俺は二度と真琴に会える事はなかった。
彼女一家が事故に巻き込まれこの世を去った。
俺は絶望した。
もう全てがどうでも良くなってしまった。
だから俺は……
もうこの町にいたくなかったんだ。
卒業と同時に田舎に行って、俺の事を知らない世界に行きたかった。
※※※※※
「ねえ、誠?……どうしたの?黙っちゃって……その、ニーナいなくなっちゃったね……誠、ニーナのこと好きだったでしょ」
俺が考えていると真琴が悪戯っぽくはにかみ俺に問いかけてきた。
「えっ?えっと、そ、その……う、うん。……好きだったと思う……で、でも、俺、真琴の事が……」
うう、やばい、顔赤くなっちゃうよ。
くうっ、真琴なんだか知らないけど可愛すぎる。
真琴はすっと立ち上がるとおもむろに俺の隣の椅子に腰を掛ける。
真琴のいい匂いが俺に届く。
ドキドキする。
「ねえ。誠はさ……おっぱい大きい方が良いの?」
「ひうっ、な、な、何を…」
なぜかジト目を向けられる。
俺は冷や汗が出てきてしまう。
「フンだ。私あんなに大きくないもん。……誠のエッチ♡」
そう言って自分の胸を隠すしぐさをする真琴。
俺は思わず真琴の胸に視線を奪われてしまう。
程よい大きさと、真琴の腕に押され柔らかそうに変形する様に思わずつばを飲み込んでしまう。
つい昨日触れたニーナさんの柔らかい感触がよみがえる。
うあ、どうしよう……
すごく触りたい……
真琴の胸……感じたい……
奥底から湧き上がる欲望に俺は頭に血が上るのを感じていた。
「もう、本当にエッチ。……でも……ねえ、誠?………キスしたい」
「えっ……いいの?………俺も真琴とキスしたいよ……」
「ばか………もう、ムードない…………ん♡」
緊張しすぎて唇と一緒に歯がカチンと音を立てた。
何気に痛い。
でも俺は今度こそはと真琴を抱きしめながら、柔らかい彼女の唇を感じたくて何度も唇を重ねた。
柔らかい真琴の体と大好きな香りに包まれて……
頭がしびれるような感覚にとらわれる。
ああ、可愛い。
……もう大好き過ぎる。
柔らかい体と唇の感触、そして甘い吐息が俺を感動させてくれる。
真琴がはにかみながら、蕩けるような可愛らしい声を出してくれた。
「んん♡……んあ……もう♡……激しすぎるよ?」
「真琴……可愛い…その、俺……したい」
「……うん♡………優しくしてね♡……私、その……初めてだから……」
俺は真琴を優しく抱きあげる。
彼女を感じたくて俺は足早に部屋を目指す。
俺の心臓が、聞こえるくらい激しく鼓動を伝えていた。
「ただいまー、ああ、疲れた。もう、何気に遠いし。……あれっ?今からなの?」
突然玄関が開き、ついさっきまで俺だった在りえない様な美女が、何故かヘルメット片手に子猫を抱えながら俺たちを見ていた。
そしていきなりニヤニヤといやらしく顔をゆがめる。
「もう♡あんたたち初心すぎ♡早くエッチしなさいよね?……あっ、わたし見学してもいいかな♡」
「にゃーん♡」
「「良い訳あるかっ!!」」
どうやらカオスはまだ続くらしい。