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第4話 ミラ・アルスランド


ミラ(未来)が目覚めたのは、ふかふかのベッドの上だった。柔らかなシーツと豪華な天蓋付きのベッドが視界に入る。彼女は瞬間的に状況を把握しようとするが、頭がぼんやりしていて何が起こったのか理解できない。


「ここはどこ?」


ゆっくりと身を起こし、周囲を見渡す。部屋は豪華な装飾品や高級家具で満たされており、まるで貴族の屋敷の一室のようだ。彼女は驚きと戸惑いで胸がいっぱいになったが、そのとき、ドアがそっと開き、一人の女性が入ってきた。


「お嬢様、お目覚めですか?」


女性は優しい笑顔を浮かべながら近づいてきた。その姿は使用人のようだが、ミラには見覚えがない。さらに混乱が深まる中、女性は手際よくミラを起こし、着替えを手伝い始める。


「お嬢様、今日は大切な日です。お父様とお母様が待っていますので、早く準備をしましょう。」


何が何だか分からないまま、ミラはされるがままに準備を進められる。しかし、鏡に映った自分の姿に驚愕する。彼女の顔は以前の自分とはまるで違い、信じられないほど美しく、若々しい。髪は輝くような金色で、肌は透き通るような白さだ。


「これ、私なの?」


ミラは鏡の中の自分を見つめながら、自分が誰なのかを再確認しようとする。その時、記憶が徐々に戻ってきた。彼女は以前の世界で事故に遭い、命を落としたはずだった。しかし、その後、女神を自称する存在が現れ、彼女に新たな人生を与えると言ったのだ。


「あなたには特別な力を授ける。新たな世界で幸せな人生を送りなさい。」


その言葉と共に、彼女はこの世界に転生したのだ。自分が今生きているのは、異世界での新たな人生。そのことを理解したミラは、これからの生活に胸を躍らせながらも、これまでの自分とは違う存在になったことを自覚した。


準備が整い、メイドのエリザに導かれて部屋を出ると、豪華な廊下を進んでいく。やがて大きな扉の前に立ち止まり、エリザが扉を開ける。そこには立派な衣装に身を包んだ男女が立っていた。


「ミラ、おはよう。元気そうで安心したわ。」母親のエレナが優しく微笑みながら言った。


「心配したぞ。急に倒れて、3日も意識をなくしておったからな」父親のレオナルドも心配そうな顔をしていた。


ミラは、その言葉に戸惑いながらも、新たな家族の存在を受け入れる決心をした。彼女はこの世界で、貴族の令嬢として新たな人生を歩み始めるのだ。貴族のお嬢様ねえ?柄じゃないけど…。


3日も意識不明って、たしかに3日前以前の記憶もある。そこには未来の記憶がない。今は前世の未来の記憶を持ったミラがいる。転生、云々は夢ではないらしい。



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