ミラはふと胸に見覚えのあるペンダントがあることに気づいた。こっちも夢じゃないらしい。彼女はそのペンダントに触れてみる。
「断っておくが、興味本位では、使わないほうがいい」
突然、頭の中に声が響いた。
「だれ!どこにいるの?」
ミラはあたりをキョロキョロする。
「私は、君の中にいる」
「…宇宙人さん?」
「その通りだ」
「どうして..?」
「君の生命を救うため、一心同体となったからだ。わかりやすく言えば一つの命を二人で共有してるのだ」
「そんなシェアハウスじゃあるまいし…」
「あれ?こっちに転生したのに、ついてきたの?」
「うむ、魂が融合してるからな」
「はぁ?で?これを使うとどうなるの?」ミラは指先でペンダントに触れる。
「君の体と私の体が入れ替わる」
「体が?そうなると何が起きるの?」
「私のデフォルトのサイズは、君の知る単位で説明すると40メートルだ」
「え?」
「つまりこの屋敷の天井を突き破る」
「ほえっ?」
「必要のない時は使わないことだ」
「ところで、私が転生して、この世界で生まれ、この年に成長する今までも、ずっと私の中にいたわけよね?当然。」
「一心同体だからな」
「その間に何もしてないわよね」
「無論だ、転生以前の記憶が蘇った今日まで何もしてない」
「ところで宇宙人さん、あなた、名前はないの?宇宙人さんと呼ぶのもどうかと思って」
「我が名はゼクス」
「そう。よろしくゼクス」
ミラは深く息を吐き、新しい生活の始まりを実感しつつ、ゼクスとの奇妙な共存生活がどのようになるのか、胸に少しの不安と期待を抱いた。