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第5話 その名はゼクス


ミラはふと胸に見覚えのあるペンダントがあることに気づいた。こっちも夢じゃないらしい。彼女はそのペンダントに触れてみる。


「断っておくが、興味本位では、使わないほうがいい」


突然、頭の中に声が響いた。


「だれ!どこにいるの?」


ミラはあたりをキョロキョロする。


「私は、君の中にいる」


「…宇宙人さん?」


「その通りだ」


「どうして..?」


「君の生命を救うため、一心同体となったからだ。わかりやすく言えば一つの命を二人で共有してるのだ」


「そんなシェアハウスじゃあるまいし…」


「あれ?こっちに転生したのに、ついてきたの?」


「うむ、魂が融合してるからな」


「はぁ?で?これを使うとどうなるの?」ミラは指先でペンダントに触れる。


「君の体と私の体が入れ替わる」


「体が?そうなると何が起きるの?」


「私のデフォルトのサイズは、君の知る単位で説明すると40メートルだ」


「え?」


「つまりこの屋敷の天井を突き破る」


「ほえっ?」


「必要のない時は使わないことだ」


「ところで、私が転生して、この世界で生まれ、この年に成長する今までも、ずっと私の中にいたわけよね?当然。」


「一心同体だからな」


「その間に何もしてないわよね」


「無論だ、転生以前の記憶が蘇った今日まで何もしてない」


「ところで宇宙人さん、あなた、名前はないの?宇宙人さんと呼ぶのもどうかと思って」


「我が名はゼクス」


「そう。よろしくゼクス」


ミラは深く息を吐き、新しい生活の始まりを実感しつつ、ゼクスとの奇妙な共存生活がどのようになるのか、胸に少しの不安と期待を抱いた。



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