ヴィーナキュア先生の登場
王子たちの勉強に対する意欲がなかなか見えない中、ミラは特別な策を考えた。それは、「ヴィーナキュア先生」という特別な家庭教師を週末に招くというものだった。王子たちはその提案に興味を示し、やる気を見せる。
ミラが紹介したヴィーナキュア先生は、実はミラ自身が変身した姿であり、彼らに厳しい指導を行う予定だった。しかし、その正体を知るのはミラと数人の限られた者だけだった。
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王子たちの勉強への決意
「ヴィーナキュア先生が毎週来ることになったぞ!」エリオットのその言葉に、王子たちはやる気を見せ始めた。ヴィーナキュア先生の存在が彼らにとって大きな「人参」となり、勉強に真剣に取り組むようになったのだ。
ミラは王子たちの変化を感じつつ、彼らが学びに真剣に取り組む姿勢に内心ほっとしていた。しかし、週末にヴィーナキュアとして登場し、彼らを指導する責任に重圧を感じ始めていた。
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ヴィーナキュア先生の授業
ヴィーナキュアとして現れたミラは、王子たちに対して厳しい教育を始めた。「勉強に真剣でなければ、私はもう来ません!」というヴィーナキュアの言葉に、王子たちは焦りながらも一生懸命に授業に取り組む。
彼らはヴィーナキュアに対して少しずつ心を開き、彼女に質問を重ねるが、ヴィーナキュアはあくまで冷静に授業に集中するよう促す。
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消えるヴィーナキュア
授業が終わるたびに、ヴィーナキュアはどこからともなく現れ、そして消えていく。王子たちは彼女を追いかけるが、いつも彼女を見失ってしまう。そして、ミラが現れては彼らを迎えるため、王子たちは混乱し続けていた。
「ヴィーナキュア先生の正体は一体誰なのか?」王子たちは疑問を抱きながらも、彼女の授業に引き込まれ、さらに熱心に勉強を続ける。
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ミラの葛藤
週末ごとにヴィーナキュアとして授業を行う一方で、ミラはその責任の重さに疲れを感じていた。「なんでこんなことになってるの…?」と独り言をつぶやき、心の中でゼクスに愚痴をこぼす。
ゼクスは冷静に彼女を励まし、「君はこの状況を乗り越えられる力を持っている」と言葉をかける。それに励まされたミラは、再び心を強く持ち、王子たちを導いていく決意を新たにする。
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成長する王子たち
ヴィーナキュアの厳しい指導により、王子たちは少しずつ学びの姿勢を改め、成績も向上していく。彼らは単なる王族ではなく、国家を背負うリーダーとしての責任を自覚し始めるのだった。
そして、ミラは彼らの成長を見守りながら、ヴィーナキュアとしての役割を果たし続ける。
ヴィーナの挑戦
ヴィーナの授業が終わると、王子たちは彼女についてしつこく質問をした。 「ヴィーナ先生、あなたのことについてもっと教えてください!」 「どんな爵位を持っているのですか?」 「好きなものは?自宅は?」
ヴィーナは最初、彼らを軽くいなし、授業に関係のないことだと言っていたが、あまりにもしつこく食い下がる王子たちに、ついに条件を提示する。
「では、こうしましょう。期末考査であなたたちが1位から3位までを独占できたら、何でも答えて差し上げますよ」
その言葉を聞いた王子たちは絶望の表情を浮かべた。彼らが1位から3位を独占するなんて、到底無理だと思っていたからだ。しかし、ヴィーナの秘密を知りたいという強い思いが彼らを動かした。
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期末考査に向けての決意
「やるしかない」と第一王子アルフォルスが言うと、他の二人も頷き、それぞれの勉強計画を練り始めた。ヴィーナの謎を解くためには、彼らはミラを超える必要があることを理解していた。
王子たちは授業の後も自習を続けるようになった。彼らは図書室に通い詰め、ミラとすれ違うたびに彼女から無言のプレッシャーを感じつつも、自分たちの目標を果たすために奮闘した。
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期末考査の結果発表
ついに期末考査の日がやってきた。王子たちは確かな手応えを感じていた。結果発表の日、掲示板に表示された彼らの順位は2位から4位。前回全教科で0点だったことを考えれば驚異的な成績向上だったが、目標には届かなかった。
そして、1位は再びミラだった。彼女は掲示板の前でほっと一息つきながら、自分がやり過ぎたことを少し後悔していた。『もっと手を抜けばよかったのに…』と心の中で思う。
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ヴィーナとの再会
その日、ヴィーナが王子たちの元を訪れた。家庭教師の期間はすでに終わっていたため、彼らは驚いた。
「ヴィーナ先生、どうして?」とアルフォルスが尋ねる。
「皆さん、とてもよく頑張りましたわ」とヴィーナが微笑む。「目標の1位から3位までは達成できませんでしたが、素晴らしい成果です。今後もこの気持ちを忘れずに勉強に励んでくださいね」
彼女の言葉に、王子たちは少しだけ励まされたが、やはりヴィーナの秘密を知りたい気持ちは拭えなかった。
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謎の言葉
「それと、大サービスです」ヴィーナは微笑んで謎めいた言葉を口にした。「アルフウアリアフォムミライテリア」
「今のは?」とアルフォルスが尋ねるが、ヴィーナは「さぁ、なんでしょう?」と言って、いつものように消えてしまった。
その後、王子たちはその言葉の意味を解読しようと調査を始めた。しかし、異国の言葉であること以外、何もわからなかった。彼らは結局、ミラに助けを求めることになったが、ミラは秘密を守り通すつもりだった。
ミラの独白
その夜、ミラは自室で独り、心の中でゼクスに語りかけていた。
「ゼクス、聞いてよ。今日、王子たちにヒントをあげたの」
ゼクスは冷静に答えた。「君は時折、そういういたずらをするが、そこから足元をすくわれることがあるかもしれない。注意したほうがいい」
「いたずらじゃないよ!ライガール国語で『私の正体はミラ、公爵令嬢です』って言ったのさでも、どうせ彼らにはわからないでしょ」とミラは笑った。
「ヒントではなく答えだろう?」ゼクスは微かに苦笑しながら返す。
「どうせライガール国語なんて誰もわからないの。ヴィーナの姿はライガール人をモデルにしてるし、そこまでたどり着けたら褒めてあげるわ。でも、本当はただ秘密を守りたいだけなのよ」
ゼクスは再び冷静な声で言った。「君は時々、そういういたずらをするけど、注意しないとどこかで問題になることもあるかもしれない」
「分かってるよ、次はもう少し控えめにするつもり」とミラは答えながら、次のヴィーナとしての計画を思い描いていた。